夏目漱石 『吾輩は猫である』 「実は今日参りましたのは、少々先生に御願が…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「実は今日来たのは、先生にお願いがあるんです」
「なんだい、何の用?」
「文学とか絵画が好きで……」
「それは良いことだ」
「仲間内で、ちょっと前に『朗読会』っていうのを作って、毎月集まって、そういうのを研究しようと思ってるんです。で、第1回目は去年の暮にやったんですけど」
「ちょっと聞きたいんだけど、朗読会って言うと、詩とか文章にリズムをつけて読むイメージがあるんだけど、実際はどうやるの?」
「最初は昔の人が作ったものから始めて、そのうち仲間が作ったものもやるつもりです」
「昔の人が作ったものって、白楽天の『琵琶行』とか?」
「違います」
「蕪村の『春風馬堤曲』みたいな?」
「違います」
「じゃあ、実際には何をやったの?」
「こないだは近松の心中物とかをやりました」
「近松?あの浄瑠璃の近松?」

原文 (会話文抽出)

「実は今日参りましたのは、少々先生に御願があって参ったので」
「はあ、何か御用で」
「御承知の通り、文学美術が好きなものですから……」
「結構で」
「同志だけがよりましてせんだってから朗読会というのを組織しまして、毎月一回会合してこの方面の研究をこれから続けたいつもりで、すでに第一回は去年の暮に開いたくらいであります」
「ちょっと伺っておきますが、朗読会と云うと何か節奏でも附けて、詩歌文章の類を読むように聞えますが、一体どんな風にやるんです」
「まあ初めは古人の作からはじめて、追々は同人の創作なんかもやるつもりです」
「古人の作というと白楽天の琵琶行のようなものででもあるんですか」
「いいえ」
「蕪村の春風馬堤曲の種類ですか」
「いいえ」
「それじゃ、どんなものをやったんです」
「せんだっては近松の心中物をやりました」
「近松? あの浄瑠璃の近松ですか」


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