夏目漱石 『道草』 「また百円どうかしなくっちゃならない」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』

現代語化

「また百円どうしよう」
「あなたが使わなくてもいいって約束したお金を使うから、後で困るんですよ」
「使わなくてもいいけど、俺が使いたいんだ」
「そう言い張るのであればそれまでです」
「あなたは人を理屈っぽいとか言って攻撃するくせに、自分にもすごく形式張ったところがあるのよ」
「あなたこそ形式が好きなんです。何事も理屈が先だから」
「理屈と形式は違うよ」
「あなたの場合は同じですよ」
「じゃあ言っとくけど、俺は口先だけの理論家じゃない。口に出してる理論は俺の手にも足にも、体全体にもあるんだ」
「ならあなたの理屈がこんなに空っぽに見えるはずがないじゃないですか」
「空っぽじゃないんだよ。ちょうど柿の種みたいで、理論が中から白く吹き出すだけなんだ。外からまぶした砂糖とは違うよ」

原文 (会話文抽出)

「また百円どうかしなくっちゃならない」
「貴夫が遣らないでも好いものを遣るって約束なんぞなさるから後で困るんですよ」
「遣らないでもいいのだけれども、己は遣るんだ」
「そう依故地を仰しゃればそれまでです」
「御前は人を理窟ぽいとか何とかいって攻撃するくせに、自分にゃ大変形式ばった所のある女だね」
「貴夫こそ形式が御好きなんです。何事にも理窟が先に立つんだから」
「理窟と形式とは違うさ」
「貴夫のは同なじですよ」
「じゃいって聞かせるがね、己は口にだけ論理を有っている男じゃない。口にある論理は己の手にも足にも、身体全体にもあるんだ」
「そんなら貴夫の理窟がそう空っぽうに見えるはずがないじゃありませんか」
「空っぽうじゃないんだもの。丁度ころ柿の粉のようなもので、理窟が中から白く吹き出すだけなんだ。外部から喰付けた砂糖とは違うさ」


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