夏目漱石 『明暗』 「するとちょうど真中辺だね、ここは」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「するとちょうど真ん中らへんなんだな」
「その奥さんとあのお客さん2人は友達かい?」
「はい、仲がいいです」
「前から?」
「どうなんでしょうね。よくわかりませんが――たぶんここに来てから知り合ったんでしょう。暇だからいつも行き来してます。昨日も公園に一緒にいました」
「その奥さんってなんで一人でいるの?」
「ちょっと具合が悪いんです」
「旦那さんは?」
「旦那さんも最初は一緒にいましたが、すぐに帰っちゃいました」
「置いてきぼりかよ、ひどいな。それっきり来ないのかい?」
「また近いうちに来るって言ってたそうなんですが、どうなったんでしょう」
「奥さん、退屈だろうな」
「ちょっと話しかけに行ったらどうですか?」
「話しかけてもいいかい?後で聞いててよ」
「はい」
「その奥さんって普段何してるの?」
「お風呂に入ったり、散歩したり、義太夫を聴いたり――たまに花を生けたり、あと夜によく書道をしています」
「へー。本は?」
「本も読むと思いますよ」

原文 (会話文抽出)

「するとちょうど真中辺だね、ここは」
「その奥さんとあの二人のお客とは友達なのかい」
「ええ御懇意です」
「元から?」
「さあどうですか、そこはよく存じませんが、――おおかたここへいらしってからお知合におなんなすったんでしょう。始終行ったり来たりしていらっしゃいます、両方ともお閑なもんですから。昨日も公園へいっしょにお出かけでした」
「その奥さんはなぜ一人でいるんだね」
「少し身体がお悪いんです」
「旦那さんは」
「いらっしゃる時は旦那さまもごいっしょでしたが、すぐお帰りになりました」
「置いてきぼりか、そりゃひどいな。それっきり来ないのかい」
「何でも近いうちにまたいらっしゃるとかいう事でしたが、どうなりましたか」
「退屈だろうね、奥さんは」
「ちと話しに行って、お上げになったらいかがです」
「話しに行ってもいいかね、後で聴いといてくれたまえ」
「へえ」
「何をして暮しているのかね、その奥さんは」
「まあお湯に入ったり、散歩をしたり、義太夫を聴かされたり、――時々は花なんかお活けになります、それから夜よく手習をしていらっしゃいます」
「そうかい。本は?」
「本もお読みになるでしょう」


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