夏目漱石 『明暗』 「お前は見かけに寄らない勇気のある女だね」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「お前は見かけによらない勇気のある女だな」
「私だって自分ではそう思ってるのよ。でもまだ発揮したことがないから、実際どのくらいあるのか自分でも分からないわ」
「いやお前に分からなくても、俺にはちゃんと分かるから、それで十分だよ。女のくせにむやみに勇気なんか出された日にゃ、亭主が困るだけだからね」
「全然困ったりしないわ。亭主のために出す勇気なら、男だって困るはずがないじゃないの」
「そりゃありがたい場合もあるだろうけど」
「今日までそれほど感服に値する勇気を見せてもらった覚えもないようだね」
「その通りよ。だって全然外に出してないんですもの。でも内側を見てごらんよ。私だってあなたのお考えの通り、そんなに太平じゃないんだから」
「私がそんなに気楽そうに 見えるのかな、あなたには」
「ああ見えるよ。すごく気楽そうだよ」

原文 (会話文抽出)

「お前は見かけに寄らない勇気のある女だね」
「これでも自分じゃあると思ってるのよ。けれどもまだ出した例がないから、実際どのくらいあるか自分にも分らないわ」
「いやお前に分らなくっても、おれにはちゃんと分ってるから、それでたくさんだよ。女のくせにそうむやみに勇気なんか出された日にゃ、亭主が困るだけだからね」
「ちっとも困りゃしないわ。御亭主のために出す勇気なら、男だって困るはずがないじゃないの」
「そりゃありがたい場合もたまには出て来るだろうがね」
「今日までそれほど感服に値する勇気を拝見した覚もないようだね」
「そりゃその通りよ。だってちっとも外へ出さずにいるんですもの。これでも内側へ入って御覧なさい。なんぼあたしだってあなたの考えていらっしゃるほど太平じゃないんだから」
「あたしがそんなに気楽そうに見えるの、あなたには」
「ああ見えるよ。大いに気楽そうだよ」


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