夏目漱石 『草枕』 「隠居さん、どうもこの色が実に善いな。使う…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『草枕』

現代語化

「隠居さん、この硯の色ってめっちゃいいよね。使ったことある?」
「いや、滅多に使わないんで、まだ買ったまんまだよ」
「そうなんだ。こんなの中国でも珍しいんじゃない?隠居さん」
「そうだね」
「俺も欲しいな。久一さんに頼んでみようかな。買ってきてくれないかな」
「ハハハ。硯を見つける前に死んじゃいそうだ」
「ほんと硯どころじゃないな。ところでいつ出発するんですか?」
「二、三日以内に出発するよ」
「隠居さん。吉田まで送ってあげて」
「普段なら年取ったし、ま、いいかって思っちゃうけどね、もう会えないかもしれないから、送ってあげようと思ってるよ」
「おじさんは送らなくていいよ」
「いや、送ってもらったほうがいいよ。川船で行けば簡単だし。ね、隠居さん」
「はい、山道は大変だけど、遠回りでも船なら……」
「中国に行くんですか?」
「ええ」

原文 (会話文抽出)

「隠居さん、どうもこの色が実に善いな。使うた事があるかの」
「いいや、滅多には使いとう、ないから、まだ買うたなりじゃ」
「そうじゃろ。こないなのは支那でも珍らしかろうな、隠居さん」
「左様」
「わしも一つ欲しいものじゃ。何なら久一さんに頼もうか。どうかな、買うて来ておくれかな」
「へへへへ。硯を見つけないうちに、死んでしまいそうです」
「本当に硯どころではないな。時にいつ御立ちか」
「二三日うちに立ちます」
「隠居さん。吉田まで送って御やり」
「普段なら、年は取っとるし、まあ見合すところじゃが、ことによると、もう逢えんかも、知れんから、送ってやろうと思うております」
「御伯父さんは送ってくれんでもいいです」
「なあに、送って貰うがいい。川船で行けば訳はない。なあ隠居さん」
「はい、山越では難義だが、廻り路でも船なら……」
「支那の方へおいでですか」
「ええ」


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