夏目漱石 『虞美人草』 「何を考えてるんだ。いくら呼んでも聴えない…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「何考えてんの?何回呼んでも聞こえないじゃん」
「そうだったんですか。全然気づいてなかった」
「急いでるみたいだけど、なんか地面歩いてないみたいで、ちょっと変だよ」
「何が」
「君の歩き方だよ」
「二十世紀だから、ハハハ」
「それが新しい歩き方なの?なんか片足が新しくって片足が古そう」
「このせいでホントに歩きにくくて……」
「それ何?」
「こっちがゴミ箱、こっちがランプの台」
「そんなオシャレな格好して大きなゴミ箱なんて持ってるから変なんだよ」
「変でも仕方ないじゃん、頼まれてるんだから」
「頼まれて変になるってすごいな。君にゴミ箱を下げて町中歩くだけの義理人情があるとは思わなかった」
「ところでどこ行くの?」
「これ持って……」
「それ持って帰るんでしょ?」
「いや、頼まれたから買いに行くの。君は?」
「僕はどっちでもいいよ」

原文 (会話文抽出)

「何を考えてるんだ。いくら呼んでも聴えない」
「そうでしたか。ちっとも気がつかなかった」
「急いでるようで、しかも地面の上を歩いていないようで、少し妙だよ」
「何が」
「君の歩行方がさ」
「二十世紀だから、ハハハハ」
「それが新式の歩行方か。何だか片足が新で片足が旧のようだ」
「実際こう云うものを提げていると歩行にくいから……」
「何だい、それは」
「こっちが紙屑籠、こっちが洋灯の台」
「そんなハイカラな形姿をして、大きな紙屑籠なんぞを提げてるから妙なんだよ」
「妙でも仕方がない、頼まれものだから」
「頼まれて妙になるのは感心だ。君に紙屑籠を提げて往来を歩くだけの義侠心があるとは思わなかった」
「時にどこへ行くんだね」
「これを持って……」
「それを持って帰るのかね」
「いいえ。頼まれたから買って行ってやるんです。君は?」
「僕はどっちへでも行く」


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