夏目漱石 『虞美人草』 「昨夕は、どうでした。疲れましたろう」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「昨日はどうでしたか。疲れたでしょ」
「いいえ」
「疲れない? 私より元気だね」
「だって、往復とも電車ですから」
「電車は疲れるもんです」
「どうして?」
「あの人で。あの人で疲れます。そうでもない?」
「面白かったですか?」
「ええ」
「何が面白かったですか。イルミネーションですか?」
「ええ、イルミネーションも面白かったけど……」
「イルミネーションの他に何か面白いものがあったんですか?」
「ええ」
「何?」
「でもおかしいわ」
「何ですかその面白かったものは?」
「言って見ましょうか?」
「言ってごらん」
「あの、みんなで御茶を飲んだでしょ」
「ええ、あの御茶が面白かったんですか?」
「御茶じゃないんです。御茶じゃないんですけどね」
「ああ」
「あの時小野さんが来てたでしょ」
「ええ、いました」
「きれいな方と一緒に来てたでしょ」
「きれい? そうね。若い人と一緒だったみたいね」
「あの方を知ってますよね?」
「いいえ、知らない」
「あら。だって兄がそう言ってたわ」
「そりゃ顔を知ってるってことでしょう。話したことは一度もありません」
「でも知ってるんでしょう?」
「ハハハハ。どうしても知らなきゃいけないんですか。実は会ったことは何回もあります」

「だから、そう言ったんです」
「だから何?」
「面白かったって」
「なぜ?」
「なぜかって」

原文 (会話文抽出)

「昨夕は、どうでした。疲れましたろう」
「いいえ」
「疲れない? 私より丈夫だね」
「だって、往復共電車ですもの」
「電車は疲れるもんですがね」
「どうして」
「あの人で。あの人で疲れます。そうでも無いですか」
「面白かったですか」
「ええ」
「何が面白かったですか。イルミネーションがですか」
「ええ、イルミネーションも面白かったけれども……」
「イルミネーションのほかに何か面白いものが有ったんですか」
「ええ」
「何が」
「でもおかしいわ」
「何ですかその面白かったものは」
「云って見ましょうか」
「云って御覧なさい」
「あの、皆して御茶を飲んだでしょう」
「ええ、あの御茶が面白かったんですか」
「御茶じゃないんです。御茶じゃないんですけれどもね」
「ああ」
「あの時小野さんがいらしったでしょう」
「ええ、いました」
「美しい方を連れていらしったでしょう」
「美しい? そう。若い人といっしょのようでしたね」
「あの方を御存じでしょう」
「いいえ、知らない」
「あら。だって兄がそう云いましたわ」
「そりゃ顔を知ってると云う意味なんでしょう。話をした事は一遍もありません」
「でも知っていらっしゃるでしょう」
「ハハハハ。どうしても知ってなければならないんですか。実は逢った事は何遍もあります」
「だから、そう云ったんですわ」
「だから何と」
「面白かったって」
「なぜ」
「なぜでも」


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