夏目漱石 『虞美人草』 「あれが台湾館なの」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「あれが台湾館よ」
「一番右の一番前に出てるのがそう。あれが一番よくできてるよね。ねえ甲野さん」
「ライトアップされると」
「ねえ、糸、まるで竜宮城みたいでしょ」
「本当に竜宮城みたいね」
「藤尾さん、どう思います?」
「ちょっと俗っぽくないですか?」
「何が、あの建物ですか?」
「あなたの喩えですよ」
「ハハハハ甲野さん、竜宮城が俗だなんてご意見ですか。俗でも竜宮城じゃないか」
「喩えはうまく当てはまると俗になるものですよ」
「当てはまると俗なら、当てはまらなければ何になるんだ」
「詩になるんでしょう」
「だから、詩は実際と外れるわけだよ」
「実際より上だからね」
「するとうまく当てはまった喩えが俗で、うまく当てはまらなかった喩えが詩ってことか。藤尾さん、面白くないし当てはまらない喩えを言ってみて」
「言ってみましょうか。――兄さん知ってるでしょう。聞いててください」

原文 (会話文抽出)

「あれが台湾館なの」
「あの一番右の前へ出ているのがそうだ。あれが一番善く出来ている。ねえ甲野さん」
「夜見ると」
「ねえ、糸公、まるで竜宮のようだろう」
「本当に竜宮ね」
「藤尾さん、どう思う」
「俗じゃありませんか」
「何が、あの建物がかね」
「あなたの形容がですよ」
「ハハハハ甲野さん、竜宮は俗だと云う御意見だ。俗でも竜宮じゃないか」
「形容は旨く中ると俗になるのが通例だ」
「中ると俗なら、中らなければ何になるんだ」
「詩になるでしょう」
「だから、詩は実際に外れる」
「実際より高いから」
「すると旨く中った形容が俗で、旨く中らなかった形容が詩なんだね。藤尾さん無味くって中らない形容を云って御覧」
「云って見ましょうか。――兄さんが知ってるでしょう。聴いて御覧なさい」


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