GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』
現代語化
「私?私はね、そうね――2階がいいな――縁側があって、加茂川がちょっと見えるような。三条から加茂川が見えてもいいけど」
「はい、場所によっては見えますよ」
「加茂川の岸には柳ありますか?」
「はい、あります」
「その柳が、遠くにもやがかかったように見えるんです。その向こうに東山が――東山だったっけ?綺麗な丸い山が――あの山が、青い屏風みたいに、こんもり霞んでるんです。そんで霞の中に、うっすら五重の塔が――あの塔の名前何でしたっけ」
「どこの塔ですか?」
「どこの塔って、東山の右の角に見えてるじゃないですか」
「ちょっと忘れちゃいました」
「絶対あるって、あるはず」
「だって琴は隣よ、あなた」
原文 (会話文抽出)
「あなたは、どんな所がいいと思います」
「私? 私はね、そうね――裏二階がいいわ――廻り椽で、加茂川がすこし見えて――三条から加茂川が見えても好いんでしょう」
「ええ、所によれば見えます」
「加茂川の岸には柳がありますか」
「ええ、あります」
「その柳が、遠くに煙るように見えるんです。その上に東山が――東山でしたね奇麗な丸い山は――あの山が、青い御供のように、こんもりと霞んでるんです。そうして霞のなかに、薄く五重の塔が――あの塔の名は何と云いますか」
「どの塔です」
「どの塔って、東山の右の角に見えるじゃありませんか」
「ちょっと覚えませんね」
「有るんです、きっとあります」
「だって琴は隣りよ、あなた」