夏目漱石 『虞美人草』 「まるで猿だ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「まるで猿だ」
「慣れると何でもするもんだね」
「あれで1日働いていくらか稼げるだろう」
「稼げるかな」
「下から聞いてみようか」
「この流れはあまり急すぎる。全然余裕がない。ずーっと走りっぱなしだ。所々にこういう場所がないとやっぱり困るよ」
「俺は、もっと、速く進みたい。さっきの岩の腹を突いて曲がった時なんかすごく爽快だった。できれば船頭の棹を借りて、俺が、船を操縦したかった」
「君が操縦したら今頃は2人とも成仏してるよ」
「なに、爽快だ。京人形を見るより爽快じゃないか」
「自然は全部一番大事なところで活動してるからな」
「じゃあ自然は人間の模範だね」
「なに人間が自然の模範だよ」
「それじゃやっぱり京人形派だね」
「京人形はいいよ。あれは自然に近い。ある意味では一番大事なことってやつだ。問題は……」
「問題はなんだい」
「だいたい問題があるじゃないか」
「そう困った時はお手本がないってことだ。困ったな」
「瀬を下って爽快だって言うのはお手本があるからだよ」
「俺にあるのかい?」
「そうだよ」
「じゃあ、俺は一番大事な人物なんだね」
「瀬を下ってる間は、一番大事なことの人物だよ」
「下ってしまえば凡人か。あっ」
「自然が人間を翻訳する前に、人間が自然を翻訳するから、お手本はやっぱり人間にあるのさ。瀬を下って気持ちいいのは、君の腹にある気持ちが大事なことってやつで活動して、自然に伝わるんだ。それが大事なことの翻訳で大事なことの解釈だ」

「肝胆相照らすってのは互いに大事なことってやつが活動するからだろう」
「まぁそんなものだろう」
「君に肝胆相照らす相手がいるかい?」

原文 (会話文抽出)

「まるで猿だ」
「慣れると何でもするもんだね」
「あれで一日働いて若干になるだろう」
「若干になるかな」
「下から聞いて見ようか」
「この流れは余り急過ぎる。少しも余裕がない。のべつに駛っている。所々にこう云う場所がないとやはり行かんね」
「おれは、もっと、駛りたい。どうも、さっきの岩の腹を突いて曲がった時なんか実に愉快だった。願くは船頭の棹を借りて、おれが、舟を廻したかった」
「君が廻せば今頃は御互に成仏している時分だ」
「なに、愉快だ。京人形を見ているより愉快じゃないか」
「自然は皆第一義で活動しているからな」
「すると自然は人間の御手本だね」
「なに人間が自然の御手本さ」
「それじゃやっぱり京人形党だね」
「京人形はいいよ。あれは自然に近い。ある意味において第一義だ。困るのは……」
「困るのは何だい」
「大抵困るじゃないか」
「そう困った日にゃ方が付かない。御手本が無くなる訳だ」
「瀬を下って愉快だと云うのは御手本があるからさ」
「おれにかい」
「そうさ」
「すると、おれは第一義の人物だね」
「瀬を下ってるうちは、第一義さ」
「下ってしまえば凡人か。おやおや」
「自然が人間を翻訳する前に、人間が自然を翻訳するから、御手本はやっぱり人間にあるのさ。瀬を下って壮快なのは、君の腹にある壮快が第一義に活動して、自然に乗り移るのだよ。それが第一義の翻訳で第一義の解釈だ」
「肝胆相照らすと云うのは御互に第一義が活動するからだろう」
「まずそんなものに違ない」
「君に肝胆相照らす場合があるかい」


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