夏目漱石 『虞美人草』 「こうだ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「これだ」
「おい、壊れたか。壊れたって、そんなものはどうでもいい。ちょっとこっちを見ろ。早く」
「何だ」
「何だ」
「もう行ってしまった。残念だったな」
「何が行ってしまったんだ?」
「あの女だよ」
「あの女とは」
「隣りのだよ」
「隣りの?」
「あの琴の主だよ。君がすごく見たいって言ってた娘だよ。せっかく見せてやろうと思ったのに、くだらない茶碗なんかいじってるもんだから」
「それは残念だったな。どれどれ」
「どれだか、もうわかるわけないよ」
「娘も残念だけど、この茶碗はひどいことをした。罪は君にある」
「あるよ、十分ある。こんな茶碗は洗っても落ちない。壊さなきゃ直らない厄介者だ。そもそも茶人の持ってる道具ほど気に食わないものはない。全部ひねくれてる。天下の茶器を集めて全部叩き壊してやりたい気分だ。ついでにあと一つ二つ茶碗を壊して行こうか」
「ふぅん、1個いくらくらいかな?」

原文 (会話文抽出)

「こうだ」
「おい、壊れたか。壊れたって、そんなものは構わん。ちょっとこっちを見ろ。早く」
「何だ」
「何だ」
「もう行ってしまった。惜しい事をした」
「何が行ってしまったんだ」
「あの女がさ」
「あの女とは」
「隣りのさ」
「隣りの?」
「あの琴の主さ。君が大いに見たがった娘さ。せっかく見せてやろうと思ったのに、下らない茶碗なんかいじくっているもんだから」
「そりゃ惜しい事をした。どれだい」
「どれだか、もう見えるものかね」
「娘も惜しいがこの茶碗は無残な事をした。罪は君にある」
「有ってたくさんだ。そんな茶碗は洗ったくらいじゃ追つかない。壊してしまわなけりゃ直らない厄介物だ。全体茶人の持ってる道具ほど気に食わないものはない。みんな、ひねくれている。天下の茶器をあつめてことごとく敲き壊してやりたい気がする。何ならついでだからもう一つ二つ茶碗を壊して行こうじゃないか」
「ふうん、一個何銭ぐらいかな」


青空文庫現代語化 Home リスト