夏目漱石 『虞美人草』 「たしかに酔っ払ってるようだ。君はまた珍ら…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「確かに酔っ払ってるみたいだ。お前は珍しくかしこまってるじゃないか」
「俺はこれで酔ってないんだからね」
「体は酔ってないよ」
「精神も酔ってないよ」
「着物を着て正座してると、酔っ払ってるのに、普通だと勘違いして得意になってるみたいだ。ますますおかしいよ。酔っ払いは酔っ払いらしくしてればいい」
「そうか、それじゃ失礼するわ」
「お前は賢そうなフリをしないでバカを主張してるから偉い。バカだけど賢いと思ってるほど腹が立つことはないものだ」
「言われたとおりにするのは水の流れるがごとしってのは俺のことだな」
「酔っ払っててもそれなら問題ない」
「なんて生意気なことを言うお前はどうなんだ。酔っ払ってるってわかってて、胡坐も正座もできない人間だろう」
「まぁ立ってるだけだな」

原文 (会話文抽出)

「たしかに酔っ払ってるようだ。君はまた珍らしく畏まってるじゃないか」
「おれは、これで正気なんだからね」
「居住だけは正気だ」
「精神も正気だからさ」
「どてらを着て跪坐てるのは、酔っ払っていながら、異状がないと得意になるようなものだ。なおおかしいよ。酔っ払いは酔払らしくするがいい」
「そうか、それじゃ御免蒙ろう」
「君は感心に愚を主張しないからえらい。愚にして賢と心得ているほど片腹痛い事はないものだ」
「諫に従う事流るるがごとしとは僕の事を云ったものだよ」
「酔払っていてもそれなら大丈夫だ」
「なんて生意気を云う君はどうだ。酔払っていると知りながら、胡坐をかく事も跪坐る事も出来ない人間だろう」
「まあ立ん坊だね」


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