夏目漱石 『虞美人草』 「おい、甲野さん、理窟ばかり云わずと、ちと…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「おい、甲野さん、理屈ばっかり言ってないで、ちょっとあの琴でも聴いたらいい。なかなか上手いぜ」
「うん、さっきから聴いてるよ」
「寝ながら聴くなんてのはおかしいだろ。ちょっと縁まで出ておいで」
「なに、ここでいいよ。構わないで」
「おい、どうも東山がきれいに見えるぜ」
「そうか」
「おや、鴨川を渡ってる奴がいる。めっちゃ風流だな。おい、川を渡ってる奴がいるよ」
「渡ってもいいよ」
「君、布団着て寝たる姿やとか何とか言うけど、どこが布団を着てるんだか。ちょっとここまで来て教えてくれないか」
「いやだよ」
「君、こうしてるうちに加茂の水が増えてきたぜ。やばいな。橋が落ちそうだよ。おい、橋が落ちるよ」
「落ちてもいいよ」
「落ちてもいいって言うのか? 夜に都踊が見られなくてもいいってわけか」
「大丈夫、大丈夫」

原文 (会話文抽出)

「おい、甲野さん、理窟ばかり云わずと、ちとあの琴でも聴くがいい。なかなか旨いぜ」
「うん、さっきから拝聴している」
「寝ながら拝聴する法はないよ。ちょっと椽まで出張を命ずるから出て来なさい」
「なに、ここで結構だ。構ってくれるな」
「おい、どうも東山が奇麗に見えるぜ」
「そうか」
「おや、鴨川を渉る奴がある。実に詩的だな。おい、川を渉る奴があるよ」
「渉ってもいいよ」
「君、布団着て寝たる姿やとか何とか云うが、どこに布団を着ている訳かな。ちょっとここまで来て教えてくれんかな」
「いやだよ」
「君、そうこうしているうちに加茂の水嵩が増して来たぜ。いやあ大変だ。橋が落ちそうだ。おい橋が落ちるよ」
「落ちても差し支えなしだ」
「落ちても差し支えなしだ? 晩に都踊が見られなくっても差し支えなしかな」
「なし、なし」


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