夏目漱石 『虞美人草』 「これの兄も御存じの通り随分変人ですから」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「この子の兄もあなたもご存知の通りすごく変わり者ですから」
「甲野さんはまだ帰ってきてないんですよね」
「あなたみたいにせっかちで――あいつも、いつも体が悪いとか言って、ぐずぐずしてるから、それなら旅行でもしてはっきりしたらいいわよねって言ってね――でも、まだあれこれと文句ばっかり言って動かないのを、やっと宗近に頼んで連れ出してもらったんです。そしたらまるでせっかちで。若い奴ってのは……」
「若いって、お兄さんは特別ですよ。哲学で飛び抜けてるんだから特別ですよ」
「そうかしら、お母さんにはよくわかんないけど――それにね、あの宗近っていうのが大の呑気で、それが本当の意味のせっかちで、かなり困った奴でしてね」
「アハハハ、活発で面白い人ですね」
「宗近といえば、あなたさっきのやつはどこにあるの?」
「ここにあります」

原文 (会話文抽出)

「これの兄も御存じの通り随分変人ですから」
「甲野さんはまだ御帰りにならんそうですね」
「まるであなた鉄砲玉のようで――あれも、始終身体が悪いとか申して、ぐずぐずしておりますから、それならば、ちと旅行でもして判然したらよかろうと申しましてね――でも、まだ、何だかだと駄々を捏ねて、動かないのを、ようやく宗近に頼んで連れ出して貰いました。ところがまるで鉄砲玉で。若いものと申すものは……」
「若いって兄さんは特別ですよ。哲学で超絶しているんだから特別ですよ」
「そうかね、御母さんには何だか分らないけれども――それにあなた、あの宗近と云うのが大の呑気屋で、あれこそ本当の鉄砲玉で、随分の困りものでしてね」
「アハハハ快活な面白い人ですな」
「宗近と云えば、御前さっきのものはどこにあるのかい」
「ここです」


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