三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』 「婆さま、今帰りました」…
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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』
現代語化
「婆さん、今帰ったよ」
「おー、文吉帰ってきたのか。私は心配ばかりしてたよ。すごいことになったんだぜ」
「何があったんだ? 婆さんはいつも大げさなことを言って、私は本当にびっくりするよ。落ち着いて話してよ」
「落ち着いてたって、さっき茂左衛門の家に来て話してくれたんだけど、敵の水司又市が深川の富川町で按摩取りになってるそうなんだ。そしたら、お継と山之助が飛び上がって、『じゃあ、今からすぐに敵を討ちに行く!』って言ったんだ。待て、相手は泥棒を生け捕りできるような豪傑なんだぞ。か弱いお前たち二人で駆けて行っても仕方ない。返り討ちにでも遭ったら大変だ。待てって言うのに、聞かないで駆けて行っちゃうから。私は追いかけようとしたけど、もういなくなっちゃったんだ。お前も早く帰ってきてくれればいいけど、早く何とかして追いかけてくれよ」
「こりゃ困ったな。だから私はいつもそう言ったじゃないか? 二人で行っても必ずあっちに斬られるんだ。たとえ斬られなくてもけがをするのは間違いないんだから、何が何でも私を待ってるように言っておけばよかったのに。婆さん、なんで行かせたんだ?」
「行かせるなって思っても、突き飛ばして行ってしまうし、引き止めても引き止められないんだから、仕方ないでしょ」
「こりゃ困ったな…嘉十、お前も一緒に行け。二人にけがをさせてはいけないから、私もすぐに行くから。お前は長い間奉公して面倒を見てくれたんだから、一緒に行け」
「敵討ちに行くなら一緒に行きます。私は行きましょう。死んだっていいですよ。行きましょう」
原文 (会話文抽出)
「婆さま、今帰りました」
「おゝ文吉帰ったか、己アまア心配ばかりして居ったが、何うもまア飛んだ訳に成ったゞよ」
「何うしたゞえ、何時でも婆さまは仰山な事を云って己ア本当に魂消るよ、まア静かに」
「静かにたって、お前先刻茂左衞門が家へ来ての話に、敵の水司又市が深川の富川町で按摩取に成ってると云う事を話したゞ、するとお前、お繼も山之助も飛上って、さア是から直に敵を討ちに行くと云うから、待てえ、向うは泥坊を取って押えるような豪い侍だから、か弱い汝ら二人で駈ん出しても仕様がない、返り討にでも成ってアならねえから待っちろと云うのに、聞かないで駈ん出すから、己ア出て押えようと思ったら、突転して駈ん出すだ、追掛けることも出来なえから、早く汝が帰らば宜いと心配ぶって居たゞ、早く何うかして追掛けて呉んなよ」
「こりゃア困ったなア、それだから己が不断から然う云って置くだ、二人で行っても屹度先方に斬られもんだ、よしんば斬られんでも怪我アするは受合いだアから、何んな事が有っても己を待ってる様に云うだ、婆様何故遣ったゞえ」
「何故遣るたっても遣らない様に仕ようと思うと、突除けて行って、留ても留らぬから仕様がないだ」
「そりゃア困ったなア……これ嘉十手前も一緒に行け、二人に怪我をさしては成んねえから、己も直ぐに行くだから、手前長く奉公して世話に成ったから一緒に行け」
「敵討に行くだから一緒に行けって、私い参りましょう、なに死んだって構いませんよ、参りましょう」
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