三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』 「誰じゃ」…
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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』
現代語化
「誰だよ?」
「あー、ボクです」
「あら、そうかい。入りなよ。まだ起きてたんだ?」
「まだあなたたちも寝てないんだね?」
「寒くて眠れなくて、起きてたんだよ」
「へぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、君たちってどこから来たの?」
「うん、ボクは大聖寺の人だよ」
「大聖寺かー。違うだろ。君たちは越中の高岡の人だよね?」
「いや、ボクは大聖寺の薬師堂の坊さんの付き添いで来たんだって。なんで高岡の人だって思うの?」
「隠さないで。君は高岡の大工町・宗慈寺って真言宗のお寺の住職で、永禅さんって呼ばれてるんでしょ?」
「なに言ってるんだ。そんなこと知らねえよ。なんでそんなふうに言うの? 人違いなんじゃないの?」
「隠しても無駄だよ。惠梅さんって比丘尼さんは、前町の荒物屋の七兵衛さんの奥さんで、お梅さんっていうんだっけ?」
「なにバカな……。とんでもない間違いだ。なんでそんなこと言うんだよ」
「いやはや、何で間違ったかわかんないけどさ。でも、尼さんだと思ってたのに、荒物屋の女房ってどういうことなのさ?」
「どうしてそんなことを言うんだ? 誰がそんなこと言ったんだよ」
「隠すな。君はお寺の住職なのに、このお梅さんと不倫してるうえに、邪魔な七兵衛を薪で撲殺して床下に隠したんだろ? 賭博の揉め事からバレておられなくなって、お梅さんと逃げてきたときに、ボクの息子・真達とどこで別れたんだよ?」
「何を言ってるんだ? いきなり何を言うんだ? 真達って誰だ? まるで人違いじゃないか? そりゃ真達さんは昨夜の話で聞いたけど、ボクは知らないよ」
「ごまかすな。ほら、証拠もあるんだ。真達を連れて逃げたけど足手まといだから、神通川の上大沓の渡し場で殺して逃げたって言ったって証拠はあるぞ。隠したって無駄だぞ」
「いやはや、まったくわけのわからないことを言うんだな。どうしてそんなことを言うのか……。惠梅さん」
「ほんとになんでそんなこと言うんですか? 私たちに身に覚えのないことを言いがかりして、なんで……どういうわけ?」
原文 (会話文抽出)
「誰じゃ」
「へい爺でございます」
「おや是は/\、さア此方へお這入りなさい、未だ寝ずかいのう」
「まだ貴方がたもお寝みでございませんか」
「寝ようと思っても寒うて寝られないで、まだ起きて居ました」
「へい早速お聞き申したいことが有って参りましたが、貴方がたのお国は、何処でございますかな」
「うーん何じゃ、私は大聖寺の者じゃ」
「大聖寺へえー、大聖寺じゃアありますまい、貴方がたは越中の高岡のお方でございましょうがな」
「うゝんイヤ私は大聖寺の薬師堂の尼様のお供をして来た者じゃア、何で高岡の者とお前が疑って云いなさるか」
「お隠しなさってもいかねえ、貴方は高岡の大工町宗慈寺という真言寺の和尚様で、永禪さんと仰しゃるだろうね」
「何を言うのじゃ、そんな詰らぬ事をそれは覚えない、何ういう事で私を然う云うか知らぬけれども、それは人違いだろう」
「隠してもいけません、そちらの惠梅様というお比丘尼様は前町の藤屋という荒物屋の七兵衞さんのお内儀で、お梅さんと云いましょうな」
「何を詰らぬ事……飛んだ間違いでお前の事をあないな事を云う」
「まア何うもねえ、どう云うまアその間違だか知れませんが、けれどもねそんな何うもその、私共は尼の身の上で居る者を、荒物屋の女房なんてまア何う云う何かね……お前さん」
「さア何ういう訳で其様ことを、さア誰がそんな事を言ったえ」
「隠しちゃアいけねえ、あなたは一箇寺住職の身の上で、このお梅さんと間男をするのみならず、亭主の七兵衞が邪魔になるというので、薪割で打殺して縁の下へ隠した事が、博奕の混雑から割れて、居られねえのでお梅さんの手を引いて逃げて来なすった時に、私の忰の眞達と何処でお別れなすったい」
「これ何を云う、何を云うのじゃ、思い掛けない事を云って、眞達なんて、それはまるで人違いじゃア無いか、何ういう訳じゃ、眞達さんと云うのは昨夜話に聞いたが、私は知りアせぬが」
「とぼけちゃアいけねえ、お前さん、しらアきったって種が上って居るから役に立たねえ、眞達を連れて逃げては足手まといだから、神通川の上大沓の渡口で忰を殺して逃げたと言ってしまいなせえ、おい隠したっても役に立たねえ」
「何うもこれは思いがけないことを言って、まアそんな事を言って何うもどゞ何ういう理窟で其様な事を云うか……のう惠梅様」
「本当に何だって其様事を云いますか、私どもの身に覚えのない事を言いかけられて、何うも何ういう訳で、その何だか、それが実に、それはお前は何ういう訳で」
「何ういう訳だってもいかねえ、種が上って居るから隠さずに云え、云わなければ詮方がねえ、お前方二人をふん縛って落合の役所へ引いても白状させずには置かねえ、さア云わねえか、云わなければ了簡が有る、おい云わねえか」
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