三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』 「あれえ」…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』

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「「あれえ」

「まあ旦那様、どうなさったんですか?みっともないですよ」

「お、ちょうどいいところに来た」

「もし、何ですか?お継さんは「きゃー」って叫んで駆け出していきましたが、あなたもみっともないですよ。裸足で」

「ちょっと、お前、こっちに来な…お梅はん、お継が逃げたからもう終わりだ。仕方がない。さあ、私ももう命はない。お前も同罪なんだよ。七兵衛さんはお前と私のことを知って50両金の無心をして、あれこれ言ったが、ばれたら大変だ。薪割りでお前の亭主を撲殺しちゃったんだ」

「あれまあ、あなた、何てことを…」

「さあ、殺すつもりはなかったけど、これも仏教で言う因縁なんだよ。お前に惚れたからなんだ。お前は藤屋の七兵衛さんを大切に思うあまり、私の言うことを聞いていたんだろうけど。お継が駆けつけてきて、床下をのぞいて「お父様は?」って言ったから、見られたと思ったんだ。追いかけたけど、お継をだまして一緒に撲殺して、私と一緒に逃げて遠いところへ身を隠すか、そうじゃなければと問えば、二心だ。お前も撲殺しなきゃならない」

「何てまあ、そんなことを言っても。お継はお前さんがかわいがってるから、仮に見ても、まさかあなたが父親を殺したとは気づかないと思いますよ。そこがまだ子供だから、分かるわけないでしょう。私がしっかりあの子の気持ちを探りますから」

「じゃあ、お前が連れてくればいい」

「まあ、ちょっと待って。本人を連れてきて実際に見てしまったら、仕方がないですよね。見なければ殺さなくてもいいじゃないですか?」

「知らなければいいが、あの子はお前の実の子じゃないんだから」

「でも3歳の時から育てて、他人でも可愛いと思って面倒見てきましたから。あの子も本当の親のように慕ってますから。私もどうにか助けたいんですわ。あれまあ、どうにでもしますから、待っててくださいよ」

「はは、今帰りました」

「お、帰ったか?」

「はいー。あちらさまにお伺いしますと、こちらから出向いてこられるので、いずれどちらからもお越しになってから相談しましょうと。そりゃまあ、何でもこちらからお越しになってくださいって、こう言われて。よろしくおっしゃってました」

「お、お前、あっち何へ行って。大仏堂に行ってな。常陸屋の主人に、夜になったら和尚が出てきて相談があるって伝えて。さっさと行って」

「はい、わかりました。行ってまいります」

「お梅、さっさと先に帰りな」

「じゃあ、私は先に戻ります」

「今夜、忍んでお前んとこに行くよ」

「そうしましたら、死体は」

「しっ!死体は庭が血だらけになってるけど、泥ばっかりのところはきれいに掃除しといた。あれ、縁の下にこうやって入れといたから、見つからないだろう。江戸と違って犬はいないから。埋めるのは後でも大丈夫だ。お前はさっさと帰りな」

「はいはい」

原文 (会話文抽出)

「あれえ」
「まア旦那何うなすったよ、みっともないよ」
「おゝ宜い処へ来た」
「もし何ですよ、お繼はキエ/\と云って駈けて往きましたが、貴方もみっともないよ跣足でさ」
「一寸お前此処へ来な……お梅はん、お繼が逃げたから最う是までじゃア、詮事がない、さア私も最早命はない、お前も同罪じゃでなア、七兵衞さんはお前と私の間を知って五十両金の無心、二つ三つ云合うたが、知られては一大事、薪割でお前の亭主を打殺したぜ」
「あれまアお前さん、何だってねえ」
「さア/\殺す気もなかったが、是も仏説で云う因縁じゃア、お前はんに迷ったからじゃア、お前は藤屋七兵衞さんを大事に思う余り私の云う事を聴いたろうが、お繼が駈けて来て床下を覗いてお父様はと云うたから、見たと思うて追掛けたが、お繼を欺して共に打殺し、私と一緒に逃げ延びて遠い処へ身を隠すか、否じゃアと云えば弐心じゃア、お前も打殺さなければならん」
「何だってまア、そんな事を云ったって、お繼はお前さんが可愛がるから仮令見たとって、よもや貴方が親父を殺したとは気が付くまいと思いますから、其処がまだ子供だから分る気遣は有りませんよ、私が篤くり彼の子の胸を聞きますからさ」
「じゃアお前が連れて来れば宜い」
「まアお待ちなさい、当人を連れて来て全く見たなら詮方もないが、見なければ殺さなくっても宜いじゃアないか」
「知らぬければ宜いが、ありゃお前の実の子じゃ有るまいが」
「だって三歳の時から育てゝ、異った子でも可愛いと思って目を掛けましたから、彼の子も本当の親の様にするから、私も何うか助けとうございますわ、あれまア何うでもするから待って下さいよ」
「はゝ只今帰りました」
「おゝ帰ったか」
「へえー彼方様へ参りますと何れ此方から出向かれまして、えずれ御相談致しますと、そりゃはや何事も此方から出向れましてと斯様にしば/\と申されまして、宜しくと仰せ有りましたじゃと」
「おゝ手前あのなに何へ行って大仏前へ行ってな、常陸屋の主人に夜になったら一寸和尚が出て相談が有るからと云うて、早く行って」
「はい左様か、行て参るますと」
「お梅早く先へ帰りな」
「じゃア私は先へ帰ります」
「潜かに今宵忍んでお前の処へ行くぜ」
「そうして死骸は」
「しい、死骸で庭が血だらけに成ってるから、泥の処は知れぬように取片付けて置いた、なそれ、縁の下へ彼の様に入れて置いたから知れやアせん、江戸と違って犬は居ず、埋めるはまア後でも宜い、お前は先へ帰りな」
「はい/\」

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