太宰治 『津軽』 「ええと、お酒はありますか。」…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『津軽』

現代語化

「あの、この辺でお酒ってありますか?」
「はい、ございます。」
「それじゃ、ちょっと多めに飲ませてください。」
「どうぞ、いくらでも。」
「今日は配給があったもので、近所でも下戸の家が結構あるんで、そういうの集めてきて、」
「さっきお客さんが、こんなに一杯持ってきてくださいました。」
「これくらいあれば十分です。」
「この鉄瓶でお燗しますから、徳利にお酒入れて、4、5本、いや面倒くさい、6本、すぐに持ってきてください。」
「お膳は後でいいですから。」
「どうぞ、ゆっくりしてください。」
「ありがとうございます。」
「もうなくなっちゃった。」
「めっちゃ早いね。早すぎるよ。」
「そんなに飲んだっけ?」
「ない。寒いもんだから、無我夢中で飲んじゃったみたい。」
「どの徳利にも、こぼれるくらいお酒が入ってたのに。こんな早く飲み干しちゃって、また6本とか言ったら、おばあちゃん俺たち化け物かって警戒しちゃうかも。変な疑念を持たれて、『もうお酒は結構です』とか言われたら困るから、ここは持参した酒をお燗して飲んで、ちょっと時間稼いでから、それからまた6本くらいにしよう。今日は、この本州最北端の宿で、飲み明かそうよ。」
「ヤバいよ。今日は僕酔っ払うかも。」
「ヤバイ、今日は酔うな。いいな。酔ってもいいな?」
「俺も今日は酔うつもりだ。ゆっくりやろうぜ。」
「歌でも歌うか。俺の歌、聞いたことないでしょ。滅多に歌わないんだけど、今日は1曲歌いたい。ちょっと歌ってもいいかな?」
「聞くよ。」
「どう? ヘン?」
「いや、ちょっとウルッときちゃった。」
「じゃあもう1曲。」

原文 (会話文抽出)

「ええと、お酒はありますか。」
「へえ、ございます。」
「いや、おばあさん。僕たちは少し多く飲みたいんだ。」
「どうぞ、ナンボでも。」
「けふ配給がありましてな、近所に、飲まないところもかなりありますから、そんなのを集めて、」
「さつき内の者が、こんなに一ぱい持つてまゐりました。」
「それくらゐあれば、たくさんだ。」
「この鉄瓶でお燗をしますから、お銚子にお酒をいれて、四、五本、いや、めんだうくさい、六本、すぐに持つて来て下さい。」
「お膳は、あとでもいいから。」
「どうぞ、まあ、ごゆつくり。」
「ありがたう。」
「もう無くなつた。」
「ばかに早いね。早すぎるよ。」
「そんなに飲んだかね。」
「無い。何せ寒かつたもので、無我夢中で飲んだらしいね。」
「どのお銚子にも、こぼれるくらゐ一ぱいお酒がはひつてゐたんだぜ。こんなに早く飲んでしまつて、もう六本なんて言つたら、お婆さんは僕たちを化物ぢやないかと思つて警戒するかも知れない。つまらぬ恐怖心を起させて、もうお酒はかんべんして下さいなどと言はれてもいけないから、ここは、持参の酒をお燗して飲んで、少し間をもたせて、それから、もう六本ばかりと言つたはうがよい。今夜は、この本州の北端の宿で、一つ飲み明かさうぢやないか。」
「こりやいかん。今夜は僕は酔ふかも知れない。」
「こりや、いかん。今夜は、僕は酔ふぞ。いいか。酔つてもいいか。」
「かまはないとも。僕も今夜は酔ふつもりだ。ま、ゆつくりやらう。」
「歌を一つやらかさうか。僕の歌は、君、聞いた事が無いだらう。めつたにやらないんだ。でも、今夜は一つ歌ひたい。ね、君、歌つてもいいたらう。」
「仕方がない。拝聴しよう。」
「どう? へんかね。」
「いや、ちよつと、ほろりとした。」
「それぢや、もう一つ。」

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