太宰治 『津軽』 「東遊記」…

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「『東遊記』」
「ほら、この階段のところどころに凹みがあるでしょ? 弁慶の足跡とか、義経の馬の足跡とかいう話があるんだって。」
「海岸に大きな岩があって馬小屋みたいで、穴が3つ並んでる。これが義経が馬をつないだところで、それでこのあたりを三馬屋って言うんだって。」
「これはきっと、鎌倉時代に遠くからやってきたヤンキーコンビが、『実はそれがしは九郎判官で、このひげのおっさんが武蔵坊弁慶、今宵一晩泊めてください』とか言って、田舎娘を騙して歩いたんじゃないかな。津軽には義経の伝説が多すぎるよね。鎌倉時代だけじゃなくて、江戸時代にも義経と弁慶がいたのかも。」
「でも、弁慶の役って大変そうだよな。」
「あの重い七つ道具を背負って歩くんだもんね。」
「この辺は美人が多いね。」
「そう? 言われてみればそうかも。」
「今さら義経って名乗っても誰も信じないだろうな。」

原文 (会話文抽出)

「東遊記」
「ほら、この石段のところどころに、くぼみがあるだらう? 弁慶の足あとだとか、義経の馬の足あとだとか、何だとかいふ話だ。」
「波打際に大なる岩ありて馬屋のごとく、穴三つ並べり。是義経の馬を立給ひし所となり。是によりて栽を三馬屋と称するなりとぞ。」
「これは、きつと、鎌倉時代によそから流れて来た不良青年の二人組が、何を隠さうそれがしは九郎判官、してまたこれなる髯男は武蔵坊弁慶、一夜の宿をたのむぞ、なんて言つて、田舎娘をたぶらかして歩いたのに違ひない。どうも、津軽には、義経の伝説が多すぎる。鎌倉時代だけぢやなく、江戸時代になつても、そんな義経と弁慶が、うろついてゐたのかも知れない。」
「しかし、弁慶の役は、つまらなかつたらうね。」
「七つ道具といふ重いものを背負つて歩かなくちやいけないのだから、やくかいだ。」
「この辺には、美人が多いね。」
「さうかね。さう言へば、さうだね。」
「まさか、いま、義経だと言つて名乗つたつて、信じないだらうしね。」

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