太宰治 『津軽』 「あそこにありまする大きな見事な額は、その…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『津軽』

現代語化

「あの立派な額は、大野九郎兵衛さんが書いたものです。」
「へえー」
「大野九郎兵衛さんって言うと、――」
「知ってるでしょ。忠臣蔵のひとりだよ。」
「ここで亡くなったんだって。42歳で亡くなったけど、信心深い人で、このお寺にもよく寄付をしてくれたんだってさ。」
「そろそろ帰ろうか。」
「はい、帰りましょう。」
「いろいろ教えてもらいました。」
「さっきはあんなに熱心に質問してたのに。」
「あれは全部嘘だったんだ。酔ってたからね。君たちが知りたがってると思って、あのおかみさんの相手をしてただけだよ。俺が犠牲者だよ。」

原文 (会話文抽出)

「あそこにありまする大きな見事な額は、その大野九郎兵衛様のお書きになつた額でございます。」
「さやうでございますか。」
「大野九郎兵衛様と申しますと、――」
「ご存じでございませう。忠臣義士のひとりでございます。」
「あのお方は、この土地でおなくなりになりまして、おなくなりになつたのは、四十二歳、たいへん御信仰の厚いお方でございましたさうで、このお寺にもたびたび莫大の御寄進をなされ、――」
「そろそろ、おいとまを。」
「はあ、いや、帰りませう。」
「結構なお話を承りました。」
「あんなに情熱的にいろんな質問を発してゐたぢやないか。」
「いや、すべて、うはのそらだつた。何せ、ひどく酔つてたんだ。僕は君たちがいろいろ知りたいだらうと思つて、がまんして、あのおかみの話相手になつてやつてゐたんだ。僕は犠牲者だ。」

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