太宰治 『津軽』 「相伝ふ、昔、当国（津軽）の領主、岩城判官…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『津軽』

現代語化

「昔、この津軽で『いがき』って大名さんがいたんだって。ある日、悪い奴にだまされて日本海の向こうに流されちゃったらしいんよ。そしたら息子と娘がいたんだけど、『あんじゅ』と『つしまる』って名前でね。お母さんと一緒に旅して、新潟の『なおえ』まで来たんだって。」
「津軽の『いがきやま』と、福島県の『いがきやま』ってすごい距離があるんだって。なのにどうしてどっちも『いがき』って言うのかな？」
「『さんしょうだいふ』」
「福島の『しのぶ』ってところを出発して」
「『いはき』」
「『いわしろ』」

原文 (会話文抽出)

「相伝ふ、昔、当国（津軽）の領主、岩城判官正氏といふ者あり。永保元年の冬、在京中、讒者の為に西海に謫せらる。本国に二子あり。姉を安寿と名づく。弟を津志王丸と名づく。母と共にさまよひ、出羽を過ぎ、越後に到り直江の浦云々。」
「岩城と津軽の岩城山とは南北百余里を隔て之を祭るはいぶかし。」
「山椒大夫」
「岩代の信夫郡の住家を出て」
「いはき」
「いはしろ」

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