GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『津軽』
現代語化
「それは、」
「戦地で配給のビールをコップに一杯飲んだ時です。大事に大事に少しずつ吸い込んで、途中でコップを唇から離して一息つこうと思ったんですけど、どうしてもコップが唇から離れないんですよね。どうしても離れないんです。」
「どうですか、体のほうは。」
「今度は銃後の任務です。病院で患者の世話をするには、自分でも病気で一度苦しんでみなければ、わからないところがあります。今度いい体験ができました。」
「さすが人間ができてきたようですね。実際、胸の病気ってのは、」
「精神の病気なんです。忘れちゃえば、治るもんです。たまには大いに酒でも飲みますよ。」
「ええ、まあ、ほどほどにやってます。」
「何か召し上がりますか。青森にも、このごろは、美味しい魚が少なくなって。」
「いや、ありがとうございます。」
「美味しそうなものばかりじゃないか。手数かけますね。でも、僕は、そんなに食べたくないんです。」
原文 (会話文抽出)
「戦地で一ばん、うれしかつた事は何かね。」
「それは、」
「戦地で配給のビールをコツプに一ぱい飲んだ時です。大事に大事に少しづつ吸ひ込んで、途中でコツプを唇から離して一息つかうと思つたのですが、どうしてもコツプが唇から離れないのですね。どうしても離れないのです。」
「どうだね、からだのはうは。」
「こんどは銃後の奉公です。病院で病人の世話をするには、自分でも病気でいちど苦しんでみなければ、わからないところがあります。こんどは、いい体験を得ました。」
「さすがに人間ができて来たやうだね。じつさい、胸の病気なんてものは、」
「精神の病気なんだ。忘れちまへば、なほるもんだ。たまには大いに酒でも飲むさ。」
「ええ、まあ、ほどよくやつてゐます。」
「何か召上りませんか。青森にも、このごろは、おいしいおさかなが少くなつて。」
「いや、ありがたう。」
「おいしさうなものばかりぢやないか。手数をかけるね。でも、僕は、そんなにたべたくないんだ。」