横光利一 『旅愁』 「このように憂いの種類には、大小さまざまな…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

現代語化

「このように悩みの種類には、いろいろあります。でも、なんて言っても、一番小さくて、一番大事なのは、今は原子核の働きについての悩みです」
「ご存知のように、物質の本質であるこの小さな粒子の真ん中には、反発し合う電気の争いと、引き合う磁力の愛情があります。でも、なんでその2つが、一つのものの中にあるのかっていう悩みの根幹を探ろうって、地球上の全物理学者が関心を持ってた時に、突然この戦争が起こったんです。それで、その悩みの根本もわからなくなっちゃったんです。また空っぽで漠然とした――この漠然とした空間の中で、僕らは立ち尽くして、何を考え、何を呼び起こそうとすべきなんでしょうか。それは秩序です。この秩序を求めてやまない僕らの心は、ただ座ってて手に入るものじゃありません。忽然念起――突然考え起こさなきゃいけないんです。文学も、哲学も、宗教も、新しい愛情さえ、出発点をここに置いて、スタートすべきです」
「なんだかいいこと言ったね」
「忽然念起」

原文 (会話文抽出)

「このように憂いの種類には、大小さまざまなものがあります。しかし、どのように云いましょうとも、最も小さな、それ故に最も重要な憂いは、何んと云いましても、現在では原子核の作用に関する憂いであります。」
「御承知のように、物の本質をなすこの微粒子の中心には、刎ねつけあう電気の争いと、磁力の牽きあう愛情とがあります。しかし、何ゆえにその二つのものが、一つのものの中にあるかという憂いの根幹の詮索に、地球上の全物理学者の関心が高まりました際になって、突如として、このたびの戦争が起って参りました。そして、その憂いの根本も分らなくなったのであります。再び空空漠漠――この漠漠たる空の中に、私らは立って、何を念じ、何を呼び起そうとすべきでありましょうか。秩序であります。この秩序を求めてやまない私らの心は、ただ坐して得られるものではありません。忽然念起――忽然として念じ起たねばなりません。文学も、哲学も、宗教も、新しい愛情さへも、発足点をここに念じて、出発すべきであります。」
「何やらうまいこと云ったね。」
「忽然念起」

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