横光利一 『旅愁』 「それじゃ、筆と紙とならたいへんですのね。…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

現代語化

「じゃあ、筆と紙だと大変ですよね」
「それはもう、言い出したらキリがないよ。筆だけでも何千種類あるか分からないから。私は自分の好きなものを作ってるんだ」
「早くこれで詩を書いて欲しいな」
「それでいいよ」
「これはヨルダン川の聖水だけど、あそこに行った知り合いが分けてくれたの。あなたがカソリックだと聞いてたから見せたかったの」

原文 (会話文抽出)

「それじゃ、筆と紙とならたいへんですのね。」
「それはもう、これを云い出せばきりがない。筆だけでも幾千種あるか数知れないからな。僕は自分の好きなものを作らせるのだ。」
「早くこれで詩をいただきたいわ。」
「それで良ろし」
「これはヨルダン河の水ですがね、あそこへ行った知人が頒けてくれたものです。あなたはカソリックだと聞いていたからお見せしますよ。」

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