横光利一 『旅愁』 「一番静かなものの中が、一番論争が激しいと…

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現代語化

「一番静かな中が、一番議論が激しいってのは、まさに日本だね。」
「あれは論理と心理の限界に美を咲かせようとする願望だからさ。つまり、やっぱり神様から御神籤をもらうための清めなんだよ。不浄があってはならないから議論する。でも、それは僕たちの議論に限らず、日本人のする議論は結局全部清めなんだよ。戦争も平和も、よく考えると全部清めなんだ。それ以外のものはない。悪も善も、お笑いも、玉乗りの果てに至るまで日本人はそうだから、まあ、僕らにしてもやっと御神籤のところに帰ってきたわけだし、お祭りくらいはしたくなるよ。」
「この道を行く人なし秋の暮れ。」
「さっき船会社に電話してみたんですけど、入港が遅れるそうなので、つい藤沢でゆっくりしすぎちゃいました。でも、多分ここだろうと見当をつけてみたら、やっぱり当たりました。まあ、ご無事で何よりです。お疲れ様でした。」
「やあ、これはこれは、皆さんお揃いですね。」

原文 (会話文抽出)

「一番静かなものの中が、一番論争が激しいというのは、そりゃまた日本だね。」
「あれは論理と心理の極致に花を咲かせようとする念願なんだからね。つまり、やっぱり御幣をいただくための斎戒さ。不浄があってはならぬから論争する。しかし、それは何もわれわれの論争にしたって、日本人のする論争ならすべて、結局はみな斎戒だよ。戦争にしろ平和にしろ、よく考えてみると等しくみなこれ斎戒さ。それ以外にはないのだよ。悪だって善だって、漫才だって、玉乗りの果てに至るまで日本人はそうなんだから、まア、とにかく、僕らにしてもやっと御幣の傍へ帰りついたのだからね、お祭りぐらいはしたくなるよ。」
「この道や行く人なくて秋の暮だ。」
「わたしは郵船へ電話してみたところが、入港が遅れそうだというので、つい藤沢で閑をとりすぎました。しかし、多分こちらだろうと見当をつけてみたところが、やっぱり当った。まア、御無事で何よりでした。御苦労さま。」
「やア、これはこれは、どなたもお揃いですね。」

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