横光利一 『旅愁』 「私は――実は、私もそこを一番知りたいので…

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現代語化

「私は――実は、私もそこを一番知りたいんすよ」
「でも、あなたはさっき、科学より道徳が上だとおっしゃったじゃないですか」
「それはまあ、そう思うんすよ。別に僕は、弁解するわけじゃないですけど、論理はそこに成り立たないと思うんで、何も論理なんて成り立たなくたって、役に立つところまで突き詰めたなら、科学みたいに人間の外側を調べる命令よりも、自分の心っていう内側を示す道徳の方が上だと思ってしまっても、いいんじゃないですか。つまり、ちょっと詭弁を言うと、道徳が科学より上だと確信することが道徳だと思うんすけど」
「それはやっぱり、詭弁だな」
「いや、詭弁じゃないよそれは、本当だよ」
「でも、君、道徳とかそういう概念にとらわれずに、自然を研究し続ける科学の本当の意味での真面目さを、そういうのを道徳と思わずして、他にどんな道徳があるの。科学がすなわち道徳だよ」
「そういうのは、それはすごく科学的だよ」

原文 (会話文抽出)

「私は――実は、私もそこを一番知りたいのですよ。」
「しかし、あなたはさっき、科学より道徳が上だと仰言ったではありませんか。」
「それはまア、そう私が思うのです。別に私は、弁解をするのじゃありませんが、論理はそこに成り立たないと思うからで、何も論理なんか成り立たなくたって、役に立つところだと見極めを付けたなら、科学のような人間の外部を調べる命令よりも、自分の心という内部の指針を示す道徳の方が上だと思ってしまっても、良いのじゃありませんかね。つまり、少し詭弁を云いますと、道徳が科学より上だと確信することが道徳だと思うのですが。」
「それはやっぱり、詭弁だなア。」
「いや、詭弁じゃないよそれは、事実さ。」
「しかし、君、道徳などというような概念に捉われずに、自然を研究してゆく科学の真の真面目さを、そういうのを道徳と見ずして、他にどんな道徳があるのかね。科学がすなわち道徳だよ。」
「そういうのは、それは非常に科学的だよ。」

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