横光利一 『旅愁』 「じゃ、作曲は今でも毎日されるんですか。」…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

現代語化

「じゃあ、作曲は今でも毎日してるんですか」
「1日に少しは毎日やるけど、それより、始めると、どこかへ旅して、1つの部屋に1週間くらい籠るの。その時は朝から人を入れないの。やっぱり、そうやってじっと心が澄んで来ないと、雑事がちょっとでも頭に浮かぼうものなら、もうダメ。いい音が出ないんだよね」
「でも、あなたみたいに有名な人だと、世間は誰も芸術家だと思わないから、そこが困りませんか」
「そうそう。僕の悩みはそれなんだよ。どんなにいいものを作っても、日本人は僕が作ったものだとは、思ってくれないんだからね、これは残念だよ。一生懸命やってるものが、1つも真面目に相手にされないなんて、こんな悲しいことはないよ」
「じゃあ、まだ僕らの方があなたより幸せなんですかね」
「いや、それは本当だよ。僕も日本人が相手にしてくれないから、仕方なく、最近はずっと外国で作品を発表してるけど、外国人はみんな真面目に扱ってくれてるよ。それなりに認められてるんだよ」

原文 (会話文抽出)

「じゃ、作曲は今でも毎日されるんですか。」
「一日に少しはどんな日もやりますが、それよりも、やり出すと、どこかへ旅をして、一部屋へ一週間ばかりわたしは籠るのです。そのときは朝から人をよせつけません。やはり、そうしてじっと心が澄んで来ないと、雑事がちらっとでも頭に泛ぼうものなら、もう駄目です。良い音が出て来ませんね。」
「しかし、あなたのような方だと、世間が誰も芸術家だと思わないですから、そこがお困りじゃありませんか。」
「そうそう。わたしの悩みはそれなんですよ。どんな善い物を作っても、日本の人はわたしが作ったものだとは、思ってくれないのですから、これは残念です。一生懸命になっているものが、一つも真面目に相手にされないなんて、こんな悲しむべきことはありませんよ。」
「じゃ、まだわれわれの方があなたより幸福なわけですかね。」
「いや、それは本当ですよ。わたしも日本人が相手にしてくれないので、仕様もなく、このごろはずっと外国で作品を発表しておりますが、外人はみな真面目に取り扱ってくれております。相当にこれでも認められているのですよ。」

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