横光利一 『旅愁』 「今はむかし、という言葉があるでしょう。僕…

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現代語化

「昔々って言葉があるじゃん。僕ら普通に使ってるけど、よく考えたら怖い言葉なんだよね。」
「え、何の話?」
「昔々ってことは、今が昔で、今してることが昔もしてたってことなんだよ。きっと昔も僕らみたいに、帰ってきてこういう話をしてた祖先がいたんだろうね。日本の神社ってたくさんあるでしょ。今の時代だと変なものって言う人もいるけど、その変なものって、実はすごい幾何学に似てるんだよ。それも球体の非ユークリッド幾何学って感じで、ギリシャのユークリッドみたいな平面幾何じゃなくて、もっとすごいものが本体になってたみたい。つまり、アインシュタインの相対性理論の根っこみたいなものかな。しかもアインシュタインのは無機物だけだけど、日本の神社のは、音波っていう4次元の世界を表してて、それが人間の生命力のシンボルでもあるんだよね。それが数式になってるから、昔の日本でも科学はここまで進んでたってことだよね。非科学的なものじゃないんだ。すごいよな、昔々って。」
「大丈夫だよ。そんなに驚かなくても。僕は前に言霊っていう古い本を読んだんだけど、その感想を言ってるだけなんだよ。面白いんだ、言霊って本。物理学と人類学のすごい博士2人が、80歳の八木っていう言語学者さんに言霊を教えてもらう話があるんだ。そしたら博士2人、音波が数式になってるのを見てびっくりしてるんだよね。つまり、この博士たちが日本に一番驚いた先駆者なんだよ。僕もこの博士はすごいと思ったんだ。だって、誰もそんなの聞いてもびっくりなんてしないじゃない。カトリック教徒のあなたに言うのは失礼かもしれないけど、こういうのを受け入れるのもたまにはいいんじゃないかな。みんなバカにしすぎてるから。その点は文句言えないよね。」

原文 (会話文抽出)

「今はむかし、という言葉があるでしょう。僕らは何げなくいつも使っているが、どうも恐ろしい言葉ですよ、これがね。」
「あなた、ほんとにどうかなすったんじゃありません?」
「何んのこと、今はむかしって?」
「今がつまりむかしで、今こうしていることが、むかしもこうしていたということですがね。きっと僕らの大むかしにもあなたと僕とのように、こんなにして帰って来た先祖たちがいたのですよ。むかし日本にお社が沢山建って、今の人が淫祠だといってるのがあるでしょう。その淫祠の本体は非常にもう幾何学に似てるんですよ。それも球体の幾何学の非ユークリッドに似ていて、ギリシアのユークリッドみたいなあんな平面幾何じゃない、もっと高級なものが御本体になっていたんですね。つまり、アインスタインの相対性原理の根幹みたいなものですよ。それもアインスタインのは、ただの無機物の世界としてだけより生かしていないところを、日本の淫祠のは、音波という四次元の世界を象徴した、つまり音波の拡がりのさまを、人間の生命力のシンボルとして解しているんですね。それも函数で出てるんだから、自然科学も大むかしの日本では、そこまで行っていたとまでは云わなくとも、非科学的なものではない。妙なものだ。今はむかしというのは。」
「大丈夫さ。そうびっくりしなくたって。僕は先旦言霊という大むかしから伝っている本を読んだのですが、その感想を云っているだけなんですよ。面白いんだ、僕の読んだ言霊という本の中に、今の理学の大家と人類学の大家と二人が、その言霊の研究者の八木という八十のお爺さんに教えて貰ってる所があるのですよ。ところが、二人の博士が音波が函数にまで出ているのを見てもうびっくりしてるんです。つまり、この博士たちは誰より日本にびっくりした先覚者なんですね。僕はこの博士もやはり豪かったのだと思うんです。誰もそんなの聞いたって、びっくり出来るもんじゃないからな。カソリックのあなたにこういうのは失礼だけれども、しかし、こんなこともあると思われることも、たまには良いでしょう。あんまりみんな馬鹿にしすぎたんだから。たしかにその点文句は皆には云えないですよ。」

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