GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』
現代語化
「なんかパリ祭ってだけでこんなことやってるけど、よく考えたらバカバカしいよな。その日に何かあってもフランスのことじゃん。くだらねえ」
「でも起ることは見ておいたっていいんじゃね?損はないっしょ」
「損はないけど、左翼と右翼がぶつかったところで、血が出るか、またどこかにブツブツみたいに潜って出てくるだけだろ?」
「そこがわからねえんだよな。あんたがパリ祭見たくないなら、千鶴子とロンドン行けば?あとでヒスられたら面倒くせえから」
「でもまあ、静かな気がするけど、なんかざわざわしてきたな。今頃日本も大騒ぎだろうよ。あちこちで火つけと消し止めのケンカだ」
原文 (会話文抽出)
「ロンドンへはそのうち僕も行ってみたいと思っているんだが――そのときはもう千鶴子さんいないんだな。」
「どうもパリ祭を待つためだけに僕らはこうしているのだが、考えればつまらないね。何かその日に起ったところで、フランスの事じゃないか。馬鹿馬鹿しい。」
「しかし、起ることは見ておいたっていいよ。損にはならんさ。」
「損にはならんが、左翼と右翼の衝突など起ったところで、少しばかり血が流れるか、さもなきゃ、どっかへまた吹出物みたいに潜り込んでは出るだけだろ。」
「ところが、それが分らないんだからね。君がパリ祭を見たくなきゃ、千鶴子さんとロンドンへ行けよ。後でヒステリ起されちゃ、お相手するのかなわないぞ。」
「しかし、見るところ静かだが、何んとなく物情騒然として来た様子だね。今ごろは日本も眼を廻して来ているよ。どこもかしこも火点けと火消しの立廻りだ。」