横光利一 『旅愁』 「まだ俺は美しさが好きなんだ。こんなに美し…

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「まだ俺は美しさが好きなんだよ。こんなに美しさが好きってことは、まだ俺はロクデナシってことだな」
「ねぇ」
「なんか最近思うんだけど、俺らみたいな現代人が求めてる『意志』ってやつは、美しさでも真面目さでも善でもない気がするんだよね。何か他の何かなんじゃないかって」
「じゃあ何だ?悪か?」
「そう、多分悪に近いけど悪でもない。この電気を考えてみろよ。俺らが求めてる電気みたいな精神って、言葉まだないんだよ」
「愛とか知とかあるだろ?たくさんありすぎてわけわかんないじゃん。迷っちゃって何も選べねえ。遣欧使が堕落したみたいにな」
「いや違うんだ、一番大事なやつが1個足りないんだよ。だからみんなゴミ拾いみたいになってる。電気見てるとそう思うんだ。だって物理とか化学でもないもん。そっち側にある悪の華みたいなものなんだ。こうなると言葉全部使えねえようなもんじゃん」
「言葉なくなったら歩くしかねえな」

原文 (会話文抽出)

「まだ俺は美しさが好きなんだ。こんなに美しさが好きなところを見ると、まだ俺は外道なんだ。」
「ね、君。」
「僕はこのごろときどき思うんだが、近代人の求めている意志というものは美でもなければ真でもない、そうかといって善でもない、あるその他の何ものかだと思うんだが、どうかね君は。」
「じゃ、何んだ、悪か。」
「そうだ、どうも悪に近いが悪じゃない。例えばこの電気を見たまえ。僕らの求めている電気に似たような、そんな精神は言葉にはまだ無いのだ。だから、たった一つの言葉を誰かが発明すれば助かるのだよ。それがないのだなア。」
「愛とか智とかあるじゃないか。あんまり沢山ありすぎて、みんな馬鹿になってるのだよ。こんなにあっちゃまごまごして、何を拾ったらいいのか知らんのさ。遣欧使の堕落だよ。」
「いや、違う、一番肝腎のものがたった一つないのだ。それでみんな屑拾いになったんだ。電気を見てるとどうもそう思う。だいいち、これは物理学でもなければ化学でもないからな。そのも一つ向うの悪の華みたいなものだ。こうなれば、一切の言葉が無になったと同様だよ。」
「言葉が無になったら歩くに限る。」

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