横光利一 『旅愁』 「どうです東野さん。俳句でも作りましょうや…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

現代語化

「どうすか東野さん。俳句でも作りましょうよ。」
「ちょっと待って。この建物、見れば見るほど俳句みたいに見えてくるんだ。不思議だな。」
「これがカエルが飛び込む水の音かね?」
「空の音だよ。俺はこれまでゴシックの教会をたくさん見てきたけど、どれもみな垂直ばかり強調してるのに、ここはそんな偏った考え方がない。羽みたいになってる斜めの線がそれぞれ本体から独立して横の空間を満足させてる。何となく、雪の結晶に似てるじゃないか。」
「私もさっきから、日本の生け花の立花に似てると思ってたんです。」
「そう、立花ってうまいな。あなたは俳句がお上手なんでしょ。やったことあるんですか?」
「前にちょっとだけ。」

原文 (会話文抽出)

「どうです東野さん。俳句でも作りましょうや。」
「まア待ちなさい。この建物、見れば見るほど俳句に似て見えて来るんだ。妙なものだなア。」
「これが蛙飛び込む水の音かね。」
「空の音だよ。僕はこれまでゴシックのお寺を沢山見て来たけれども、どれもみな垂直性ばかり重んじているのに、ここのはそんな精神の偏見がない。翅となっている斜線がそれぞれ本態から自立して横の空間の意識を満足させているよ。何んとなく、雪の結晶に似てるじゃないか。」
「あたしもさきから、日本の生花の立花と似てるように思ってましたわ。」
「そうそう、立花とはうまいなア。あなたは俳句はお上手でしよう。やられたことがあるんですか。」
「前に少しばかり。」

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