横光利一 『旅愁』 「自分の青春をパリで送ったものは、極楽へい…

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「自分の青春をパリで過ごしたものは、極楽に行った男だ。私は遅すぎてパリへ来た。残念だ」
「そうだそうだ」
「これで日本の青年たちは、どんなにパリを憧れているかも知れませんぜ。それをあなた方はここまで来て、何をぐずぐずしてるんですか。私はあなた方を見てると、まるで坊主を見てるように思えますな。私がもしあなた方だったら、あるだけのお金をここで使い果たしてしまう。ここでケチをする奴は、そいつは一番愚かな人間じゃ」
「それは沖さんの感傷だな。ここは全く監獄だ。僕たちはみな金を家から送ってもらってる俊寛ですよ。こんなところでぼんやりしてたら、もう最後だ」
「あなたはお坊さんだったからな。まあ、お坊さんは世界のどこに行ってもお坊さんだ」
「いや、構わない。パリでお坊さんしてやろう」
「あなたはお坊さんなんかにならないでよ。ねえ、何がそんなに面白いっていうの?」
「元気になりましたね三島さん。また私に靴を脱げっておっしゃるんじゃないでしょうね?」
「はははは、靴か。靴脱ぎなさいよ。どうもあいつを覚えてられると、私は恥ずかしくて」
「これじゃ、今夜は無事で済まないわね」

原文 (会話文抽出)

「自分の青春をパリで送ったものは、極楽へいった男だ。わたしは遅すぎてパリへ来た。いまいましいな。」
「そうだそうだ。」
「これで日本の青年たちは、どんなにパリをあこがれているかも知れませんぜ。それを皆さんここまで来て、何をくよくよしてるのですか。僕は君らを見てると、まるで坊主を見てるように思えますな。僕がもし諸君だったら、あるだけの金をここで使うてしまう。ここでケチをする奴は、そ奴は一番阿呆な人間じゃ。」
「それは沖さんの感傷だな。ここは全く監獄だ。僕らはみな金を家から送って貰ってる俊寛ですよ。こんなところでうつつをぬかしたら、もう最後だ。」
「あなたは船の中でもお坊さんだったからなア。まア、坊さんは世界のどこへいったって坊さんだ。」
「いや、かまわん。パリで坊さんしてやろう。」
「あんたは坊さんなんかになりなさんなよ。え? 何が坊さん面白いのだ。」
「お元気になったわ三島さん。またあたしに靴を脱げと仰言るんじゃありません?」
「はははは、靴か。靴脱ぎなさいよ。どうもあ奴を覚えてられると、僕は羞しゅうて。」
「これや、今夜は無事にはすまぬ。」

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