GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』
現代語化
「矢代もだよ。あんなに変えたのは君の責任も大きいね。このパリに来ていながらわざわざファシストになるなんて、だんだん日本人の君ばかりが目についたからだよ。世界が千鶴子さんばかりに見えてるんだね。早くもう矢代をつれて、あなた帰ってしまいなさいよ。あの男は堕落した」
「ファシストだなんて、そんな――立派な方が真面目に考えてらっしゃることを、そんなふざけた言葉で片付けるもんじゃないわ。もし間違ってたとしても、それって苦しんでるに違いないんですもの。あなたの方が私、よっぽどファシストに見えるよ」
「何だ。君はもうそんなに溺れてるのか」
「何でもあなたはそういう風に見えて、物事を解釈するのね。ほんとに意地悪」
原文 (会話文抽出)
「久慈さんはほんとにお変りになったのね。何んだかあなたは、いけない変り方をなすったように思うわ。」
「矢代だってそうだよ。あんなに変えたのは君の責任も大いにあるね。このパリに来ていながらわざわざファッショになるというのは、だんだん日本人の君ばかりが眼について来たからだよ。世界が千鶴子さんばかりに見えて来てるんだね。早くもう矢代をつれて、あなた帰ってしまいなさいよ。あの男は堕落した。」
「ファッショだなんて、そんな――立派な方が真面目に考えてらっしゃることを、そんな不真面目な言葉で片附けておしまいになるもんじゃないわ。もし間違いにしたって、それや苦しんでらっしゃるにちがいないんですもの。あなたの方があたし、よほどファッショに見えてよ。」
「何んだ。君はもうそんなに溺れてるのか。」
「何んでもあなたはそういう風儀に、物を解釈なさるのね。ほんとに意地悪よ。」