横光利一 『旅愁』 「しかし、僕らから理想がとれるか。理想をと…

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現代語化

「でも、僕らから理想取っちゃうとダメじゃね?理想のない頭じゃ、何も作れないよ」
「自分の国のことばじゃなく、外国語で理想考えてるのってどういうこと?田舎者が標準語で都会の理想ばっか考えて死んじゃうってこと?」
「僕らが世界のヒューマニズムに参加しようと努力しないと、学問が進歩したり、道徳が成り立ったりするわけ?」
「でも、僕らの東洋にもヒューマニズムあるよ。ちゃんとあるよ。でも、この西洋のヒューマニズムとはちょっと違う。どっちがいいかは今は言わないけど、違うなら近づけるためにも、僕らは自分たちのこと、日本のこと考えなきゃいけないよ」
「ヒューマニズムに東洋と西洋の区別があるのか?そんなのなかったら、僕らはその理想を信じられるわけないじゃん」
「自分が賢いと思いたがって、東洋と西洋の違いなんてないって言い張るのは、あんたのくせだよ」
「その習慣が分析力の結果なら、それは世界を守る方法だろ。誰も変えられない方法は、たった一つ確実に存在するんだ。それを探すのが分析力だ。一体、分析力に西洋も東洋もあるわけ?同じ土俵で負けてるなら、負けてる方が弱いんだよ。それは仕方ないだろ」
「負けるところばっかりしか見えてないんだよ。勝ってるところまで負けてると考えるのが分析力なんじゃないの?見てよ、ここって、これって完全な状態だって言えるの?」

原文 (会話文抽出)

「しかし、僕らから理想がとれるか。理想をとった頭というもので、どうして建設が出来るのだ。」
「翻訳語で理想を考えるというのは、どういうことかね。田舎者が標準語で都会の理想ばかり考えて、死んでしまうことを云うのか。」
「僕らがこの世界のヒューマニズムに参加しようと努力せずに、学問の進歩があり得るか。道徳というものが成立すると思うのか。」
「しかし、僕らの東洋にだってヒューマニズムはあるよ。ちゃんとあるよ。ところが、この西洋のヒューマニズムとはちと違う。どっちが善いかは今云いたくはないが、違うなら接近させるためだって、僕らは少しは自分を考えねばならぬさ。自分をね、日本をね。」
「ヒューマニズムに東洋と西洋の別があるか。それがなければこそ、僕らはその理想を信仰するんじゃないか。」
「自分が、知識階級だという虚栄心で、東洋と西洋とのある区別さえ無いと思う習練を永久に繰り返すのかね。つまり、それは君の習練だよ。」
「その習練が分析力の結果なら、それは世界を守る道というものだろ。誰も動かすことの出来ぬ道というものは、たった一つ厳然としてあるのだ。それを探すのが分析力だ、いったい、分析力に西洋も東洋もあるものか。同じ共通のもので負けてれば、負けてる方が弱いのだ。それだけは仕様があるまい。」
「負けたとこばかりより君に見えぬのだよ。勝ってるところまで負けにするのが分析力だ。見て見ろ、ここのこのざまは、これで全身が生きているといえるのか。」

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