横光利一 『旅愁』 「ここは去年、ユーゴスラビヤの皇帝がピスト…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

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「ここが、去年ユーゴスラビアの皇帝がピストルで暗殺されたところなんだって。ここだよ」
「軍艦から降りて儀仗兵と一緒に車でここまで来たんだけど、道が交差してて車が一時停まったんだ。すると、どこからか乞食みたいなロシア人がやってきて、いきなり車の窓ガラスを拳銃の柄でバコーンって叩き割って、連射してきたんだよ。それで、一緒に乗ってたフランスの外務大臣も死んじゃった」
「このあたり、男の足が不自由な人多いな」
「大戦があったのが一目瞭然だね」
「そういえば、笑ってるやつ一人もいないよ」
「笑ってるどころじゃないよ。こんなに人がいるのに、話してる人もいない。みんな何考えてんだろ」
「このヨーロッパの人たちって、もう思想とか考えることないんだな。すごいよ」

原文 (会話文抽出)

「ここは去年、ユーゴスラビヤの皇帝がピストルで暗殺されたところです。丁度ここですよ。」
「軍艦を降りてから儀杖兵づきで、ここまで自動車で来られたところが、丁度ここでしたが、路がクロッスしてるものだから自動車が一寸停ったんですな。そこへつかつかと一人の乞食のようなロシア人が来ましてね、いきなり窓ガラスを拳銃の柄でぽかッと叩き壊して、続けざまに乱射したものですから、同乗していたフランスの外務大臣も一緒にやられました。」
「ここは男の跛足の多いところだね。」
「大戦があったということが一目で分るもんだな。」
「そう云えば、笑ってるものが一人もいないや。」
「笑ってるどころじゃないよ。これだけ人がうようよしているくせに、話してる者もいない。何をいったいしてるんだろ。」
「これや、もうヨーロッパ人は、考えることは皆思想より無いのだね。豪いもんだ。」

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