森鴎外 『伊沢蘭軒』 「十三日。晴。一昨日より徳村田某へ数学稽古…

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青空文庫図書カード: 森鴎外 『伊沢蘭軒』

現代語化

「13日。晴れ。2日前から徳村田のところへ数学を習いに行ってる。」
「23日。（2月。）曇り。午後晴れ。阿部さんが東京に行くから、分家や清川さん、森さん、関藤さん（お菓子代200疋添えて）に手紙出した。」
「俺、明治元年冬から、殿様の阿部さんの屋敷にいたんだけど」
「藩がなくなったから、阿部のおじいさんは華族になって東京に引っ越した。でも、家のルールとか決まってなくて、みんな「先生を呼ばなきゃダメだ」って言って、無理やり俺を招いて先生にしてくれちゃった。俺も断れなくて、「俺の骨には東京と縁があるのかな？」って言って、また引っ越したよ。いろいろ整えて、人に任せて、もう人と会わないで家にいて、詩ばっかり作ってる。」
「180石、家扶、阿部小重郎、43歳」

原文 (会話文抽出)

「十三日。晴。一昨日より徳村田某へ数学稽古に行。」
「廿三日。（二月。）陰。午後晴。阿部近日東京出立に付、分家、清川、森、関藤（菓子料二百疋添）等へ書状出す。」
「余自壬申冬、来在藩主阿部氏本所横網邸」
「会廃藩命下。正桓君例以華族。移住東京。而家制不定。衆以為非招先生不可。強以賓師委重。先生弗得辞。曰骸骨竟有宿縁於東地歟。便復移家。経理画一。更選人授之。絶交閑居。賦詩自楽。」
「百八十石、家扶、阿部小重郎、四十三」

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