森鴎外『伊沢蘭軒』「十三日。陰。」…

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青空文庫図書カード: 森鴎外『伊沢蘭軒』

現代語化

「13日。曇り。」
「14日。薄曇り。夜に雪。」
「15日。雪。文礼が用事で新城宿からこちらを通った。」
「16日。雪。」
「17日。雪。榛軒先生の17回忌なので、雑煮餅を全員にふるまった。文礼が青森から帰る途中、立ち寄って1泊した。」
「18日。薄曇り。夕方に雪。」
「19日。雪。」
「20日。晴れと雪が交互に降る。弘前侯から岡田総督をはじめ人夫までへの御祈祷を、当所の林の中林下林の3社で行うように命じられた。それで、中林の神明社にお参りした。」
「21日。同じ。」
「22日。同じ。」
「23日。少し晴れる。寒の入り。松前侯が同じ城で戦争をして、退却した後、一昨夜に平館に到着し、昨夕に蟹田村でご休憩されたとのこと。それで、お見舞いの使者（天宇門、磯貫一郎）を送るので、自分も同行するようにと副長から言われた。朝8時過ぎに油川宿を出発し、朝5時半頃蟹田村に到着するが、松前侯は昨夕には到着されておらず、今夜到着されることになったので、お見舞いをする。」
「24日。少し晴れる。夜に雨。朝5時過ぎに蟹田村を出発し、馬に乗って昼9時半頃油川に帰宿。」
「25日。雪。」
「26日。薄曇りで時折雪。」
「27日。同じ。」
「28日。少し晴れる。清水谷様から兵隊に慰労として、1人当たりお酒4合分と、おつまみの代金として1朱と354文ずつ下賜された。石川厚安が青森に行くついでに立ち寄って1泊した。江木老人がこの地で逗留している間、病院で一緒に過ごした。」
「29日。少し晴れる。江木老人が築城掛をやめたいと願い出て、容体書を提出する。老人は、上手な書家である。旅の中でも特に退屈せずに過ごすことができ、生涯で妻よりも優れた徳があると自慢していた。名言だ。」
「30日。少し晴れる。」
「12月1日。少し晴れる。」
「2日。同じ。夜に雪。」
「3日。少し晴れる。」
「4日。晴れ。夜に雨。雷が鳴る。月給金2両を受け取る。」
「5日。曇り。」
「6日。雪。文礼が用事で青森に行き、帰りに1泊した。」
「7日。晴れ。夕方に雪。会議所から寒中慰労として、生きた牛1頭を兵隊にいただき、今日屠って肉を配分する。」
「8日。雪。」
「9日。雪。午後に止む。」
「10日。晴れ。」
「11日。晴れ。松軒が青森に行く。天富亮碩も青森に行くついでに立ち寄る。」
「12日。晴れ。午後に曇り。本陣を大菊屋に移す。」
「13日。晴れ。斎木と石川が新城から兵隊と一緒に来る。」
「14日。晴れ。夜に雪。」
「15日。晴れ。」
「16日。斎木と石川が1泊する。」
「17日。晴れ。弘前侯がご見舞いで当地を通過し、総兵隊にお土産としてお酒とおつまみを下賜された。」
「18日。風雪。」
「19日。強風と吹雪。松平民部大輔様が箱館討手の役を命じられた旨、廻状が届く。」

原文 (会話文抽出)

「十三日。陰。」
「十四日。半晴。夜雪。」
「十五日。雪。文礼子御用にて新城宿より爰元通行。」
「十六日。雪。」
「十七日。雪。榛軒先生十七回忌に付、雑煮餅一統へ振舞。文礼子青森より帰途立寄一泊。」
「十八日。半晴。夕雪。」
「十九日。雪。」
「廿日。晴雪相半。弘前侯より岡田総督始、人夫迄之御祈祷、於当所上林中林下林三所被仰付。右に付中林神明社参詣。」
「廿一日。同断。」
「廿二日。同断。」
「廿三日。微晴。寒入。松前侯同城戦争有之、引払之上、一昨夜平館著船、昨夕蟹田村御逗留之由。右に付為御見舞御使者（天宇門、磯貫一郎）被遣候間、小子同行被差遣候旨、副長被申談。暁八時過油川宿出立、朝五半時頃蟹田村著之処、松前侯昨夕御参著無之、今夕御来泊に相成、御見舞相勤。」
「廿四日。微晴。夜雨。朝五時過蟹田村出立、馬上に而昼九半時頃油川帰宿。」
「廿五日。雪。」
「廿六日。半晴半雪。」
「廿七日。同断。」
「廿八日。微晴。清水谷様より兵隊へ為慰労御酒四合づつ、御肴代金一朱と三百五十四文づつ被成下。石川厚安青森行に而前後立寄一泊。江木老人爰許逗留中病院同宿。」
「廿九日。微晴。江木老人築城掛御免内願に付容体書差出す。老人云。好書家、旅中別而不知徒然、生涯妻子に勝る之徳ありと云。名話なり。」
「晦日。微晴。」
「十二月朔日。微晴。」
「二日。同断。夜雪。」
「三日。微晴。」
「四日。晴。夜雨。雷鳴。月賜金二両受取。」
「五日。陰。」
「六日。雪。文礼子青森へ御用に而罷越、帰路一泊。」
「七日。晴。夕雪。会議所より為寒中慰労生牛一疋兵隊へ頂戴相成、今日屠肉配分。」
「八日。雪。」
「九日。雪。午後止。」
「十日。晴。」
「十一日。晴。松軒子青森へ行。天富亮碩亦青森行に而立寄。」
「十二日。晴。午後陰。本陣大菊屋へ病院転寓。」
「十三日。晴。斎木石川新城より兵隊同道に而来。」
「十四日。晴。夜雪。」
「十五日。晴。」
「十六日。斎木石川来一宿。」
「十七日。晴。弘前侯為御見廻当所御通行、総兵隊へ為御土産御酒御肴被成下。」
「十八日。風雪。」
「十九日。風飛雪。松平民部大輔様箱館討手被為蒙仰候旨廻状到来。」

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