森鴎外『伊沢蘭軒』「二月十七日、真菜板橋瀬尾昌玄宅へ参り、森…

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青空文庫図書カード: 森鴎外『伊沢蘭軒』

現代語化

「2月17日、瀬尾昌玄の家に森兄を訪ねた。昌玄によると、昨日、城内で杖を使う許可が出たって言ってた。森兄と一緒に、有馬述の家に寄って、目付の松平次郎兵衛の家を探した。田村小路ってところだった。田村小路に行って、着物を着て、清川から借りた袋杖を持って、玄関に上がって挨拶した。帰ってきて、先祖の書を拝んだ。信実、立賢、安石、良栄を連れて、長谷寺の墓と祥雲寺の墓を訪ねて、良栄の父の平川養乙の墓も拝んだ（去年、江戸勤務中に亡くなった）。酒を半升買って、茶屋で飲んだ。氷川神社にも参拝した。信濃蕎麦と素麺を先祖先兄の書の前に供えて、宴会をした。」

「目付の松平次郎兵衛、千二百石、愛宕下、安政5年8月から馬を使うようになった。」
「御目見医師、瀬尾昌玄、板橋」
「御目見医師、森養竹、駒込追分」
「信実」
「竹内立賢、津山」

原文 (会話文抽出)

「二月十七日、真菜板橋瀬尾昌玄宅へ参り、森兄に会す。昌玄取扱にて、昨日御城内杖相用之願、不苦と御附札を以て被仰付候趣被申。森兄と同道、備前町有馬述宅へ参り、目付松平次郎兵衛宅を尋ぬ。田村小路なり。田村小路へ参る。十徳著用、昨夜清川より借りし袋杖を持たせ、玄関に通り、御礼申置く。帰宅、先考真迹を拝す。児信実、立賢、安石、良栄を携へ、長谷寺の墓を拝し、祥雲寺正宗院の墓を拝し、同寺良栄父平川養乙の墓を拝す。（前年江戸勤番中歿す。）酒半升を買ひ、掛茶屋にて飲む。氷川神社を拝す。信濃蕎麦索麪を先人先兄真迹前に供し、宴を開く。」
「御目付衆、松平次郎兵衛、父次郎兵衛、千二百石、あたごの下、安政五午八月より、馬」
「御目見医師、いゝだ丁まないたばし、瀬尾昌玄、」
「御目見医師、こま込追分、森養竹、」
「信実」
「竹内立賢、津山」

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