森鴎外 『伊沢蘭軒』 「近報御状高作とも被下、御近状も審承大慶仕…

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青空文庫図書カード: 森鴎外 『伊沢蘭軒』

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「ご無沙汰しております。お便りと俳句をいただき、近況も伺えて嬉しく思います。近頃はよくお酒を召し上がっているとか、お喜び申し上げます。私は決めておりまして、一滴もそれ以上いただきません。いかんせん歳には勝てず、俳句も作れず、話しかけていただいたことも途中から忘れてしまうほどです」
「今年は11月までは暖かかったのですが、小寒に入ってから一段と寒くなり、雪も降らずただただ寒いだけです。そちらはどうですか。皆様お変わりございませんか。奥様とご子息様、さよさんにもよろしくお伝えください」
「こちらでは、老妻は元気ですが、敬が相変わらず病気気味です。夏も秋も寒かったせいです。この頃、西洋でいうキナという樹皮とハンゲショウ、アカテガニの甲羅などが入った和解剤を服用しています。堯佐の妻は普段は健康なのですが、寒邪によって発熱し、その後腹痛などが続いて寝込んでしまいました。このような事情で、手紙も詳しく書けません。ご容赦ください」
「ご子息様はお変わりなくお元気とのこと、何よりの吉報です」
「津軽翁はお元気ですか。西遊ももう4、5年になると思うので、長崎への旅をお勧めになってみてはいかがでしょうか。去年と今年は素晴らしい唐人が滞在していて、朱柳橋はかなりの学者で、沈綺泉は日本語にも通じています。他には10人ほど良い人物が来ています。江芸閣の陸品三などは、もう静かに過ごしているようです。しかし、時々集まることもあり、また一人も字の読める者がいない時もあるとか。江戸へ通訳の一人を派遣して滞在させているそうで、翻訳家の学者と聞きました。私の方にも少し立ち寄ったのですが、どんな場所で過ごしているのでしょうか。お会いになりましたか」
「申し上げたいことは他にもたくさんあるのですが、凍った筆先と疲れた腕が限界なのでこのあたりで失礼します。あまりに短くて申し訳ありません。ご自愛の上、新年をお迎えください。恐惶謹言。嘉平月十一日。菅太中晋帥。伊沢辞安様。」
「寒い時期の俳句2首」
「山の端から日が昇る。凍えた雀の声は聞こえない。門の前を汲みに行く女。草履の歯が雪を踏む音」
「風が吹いていないのに雲が流れる。窓紙は明るくなったり暗くなったり。童子が茶を沸かそうとするが、渓流の氷は叩いても砕けない」
「ご笑覧いただければ幸いです」
「古庵様をはじめ市野津軽に宜しくお伝えください」
「服部さんは時々お見えになりますか。こちらにもよろしくお伝えください」
「追伸 松崎は物書きです。お恥ずかしい限りですが、私も一度お目にかかったことがあります。ご一緒の機会がありましたら、よろしくお願いいたします。山名文は上手ですね。こちらにもよろしくお伝えください」
「雀」
「手」
「凍」
「風気」
「同上」
「上」

原文 (会話文抽出)

「近報御状高作とも被下、御近状も審承大慶仕候。近比は御酒よほどいけ候よし奉賀候。私は限をたて、一滴も過し不申候。とかく老耄にこまり申候て、詩歌等も出来不申、咄かけし事を中途にわすれ申候程の事に候。」
「今年は十一月迄は暖に候処、小寒入より祁寒、雪もなくて只々さむく候。御地いかが。皆様御あたりも無之候哉。尊内、令郎様方、おさよどのへも宜奉願上候。」
「私宅老妻は無事、お敬とかく煩申候。夏も秋もさむく候。此比楊皮(蕃名キヤキヤとか申候)柴胡鼈甲等入候和解之剤たべゐ申候。堯佐妻もと無病人、寒邪に而壮熱、其のち腹痛等にて打臥候。右之仕合、書状も不詳悉候。御免可被下候。」
「令郎様方風気同上、足下之吉祥善事莫過之候。」
「津軽翁いかが。西遊ももはや四五年になり候へば、長崎の行被思召立候様御すすめ可被下候。去年今年はよき唐人来泊、朱柳橋はよほどの学者、沈綺泉は和語にも通じ候。其余十人許もよき人来候。江芸閣陸品三などは底へ沈み候よし。しかし時により集り候こともあり、又一人も識字のものゐぬ時も候よし。都下へ通事一人めされ在番いたし候よし、訳司中之学者と承候。私方へも片時立より申候。いかなる処に居候哉。御逢も被成候哉。」
「種々可申上こと多候。凍筆病腕これきりにやめ候。扨余りみじかく候。御保重御迎春可被成候。恐惶謹言。嘉平月十一日。菅太中晋帥。伊沢辞安様。」
「苦寒二首。」
「東嶺日方升。不聞凍雀声。門前過汲婦。屐歯響※※。」
「無風雲尚行。窓紙明還晦。童子欲烹茶。渓冰敲不砕。」
「御一笑可被下候。」
「古庵様はじめ奉り市野津軽へ宜御致声可被下候。」
「服部折ふし御見え候哉。これへも宜奉願上候。」
「尚々松崎は作家也。吐舌申候。私も一面識也。御会合の序宜奉願上候。山名文よく出来候。これへも宜御致声可被下候。」
「雀」
「手」
「凍」
「風気」
「同上」
「上」

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