宮本百合子 『道標』 「あら! あなただったの!」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「あら! あなただったの!」
「珍しいじゃない」
「1人ですか? じゃ、入ってください」
「うん」
「実は、大変なことが起きたんです」
「田舎に預けてた子供が、今朝急に亡くなったんです」
「亡くなった?――死んだんですか?」
「そんなに悪いとは思ってなかったらしいんだけど……」
「――つい、4、5日前じゃない?私たちが夕方、あなたの留守にデュトに来たのは。――あのとき、スミコさんがちょっとそんなこと言ってたけど」
「あの次の日スミコと2人で、会いに行ったんです。そしたら、あっちのマダムもパリに連れて帰るように言うから、そのまま病院に入れたんです。医者もただの消化不良だって言ってたんだけど」
「――子供って、こわいですね。それで、どうなりますか? 何か手伝うことがあったら何でも言ってください、手伝うから……それにしても急ですね」

原文 (会話文抽出)

「あら! あなただったの!」
「めずらしいじゃありませんか」
「一人ですか? ま、入って下さい」
「ええ」
「実は、思いがけないことがおこったもんで」
「田舎にあずけてあった子供が、けさ、急になくなったんです」
「なくなった?――死んだんですか?」
「それほど悪いとは医者も思っていなかったらしいんですが……」
「――つい、四五日前じゃありませんか。わたしたちが夕方、あなたの留守にデュトへ行ったのは。――あのとき、須美子さんがちょっとそんなことを話していられたけれど」
「あの次の日須美子と二人で、行って見たんです。そして、あっちのマダムもすすめるもんでパリへつれてかえって来て、そのまま病院へ入れたんです。医者もただの消化不良だって云っていたんですが」
「――子供なんて、こわいなあ。それで、どういうことになるんです? 出来ることがあったら云って下さい、何でも手伝うから……それにしても急なんだなあ」


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