宮本百合子 『道標』 「わたしも、ごめんなさい」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「わたしも、ごめん」
「ノブさんがそんな風に言うの、嫌だ。ノブさんは、俺みたいな奴から見たら、メチャクチャヒューマンなんだよ。俺のこと本気で可哀想って思って、あんなに優しくしてたのに――俺が最低最悪だったんだ」
「わたしだって、そんなに聖人君子みたいなもんじゃないわ」
「蜂谷さん、でもなんでそんなに怒ったの? わたしが、あなたはタワーリシチじゃないって言ったとき――それは、本当のことなのに」
「嫉妬したんだ。どうにもならないくらいマジ嫉妬した。いつかそういうタワーリシチが出てきたら、きっと自信満々にノブさんの全部を自分のものにするんだろうって思ったら……」
「もう今は、違う。もしそういう選手が出てきたら、俺も祝福してやれる」
「――わたしの全部を自分のものにした、ってこと?」
「それもそうかも。でも、それよりも、ノブさん自身のことを考えて。俺としては、水くぐり火くぐりしたようなもんだから、これからは本当の友達でいられると思うんだ。それは否定しないよね?」
「そうかしら……」

原文 (会話文抽出)

「わたしも、ごめんなさい」
「僕は、伸子さんがそんな風にいうのは、いやだ。伸子さんてひとは、僕なんぞからみると、おどろくほどヒューマニスティックなんだ。僕を心から可哀そうに思って、きみは、あんなにやさしくなっていたのに――僕が全く野卑だったんだ」
「わたしだって、そんなに聖なるものみたいな者じゃないわ」
「蜂谷さん、でもあなたどうしてあんなにおこったの? わたしが、あなたはタワーリシチじゃないと云ったとき――それは、ほんとのことだのに」
「僕は嫉妬を感じたんだ。どうにもできないほど烈しく嫉妬したんだ。いつかそういうタワーリシチがあらわれたら、自信をもって伸子さんのその全部を自分のものにするんだろうと思うと……」
「もう今は、ちがう。もしそういう選手があらわれたら、僕は彼を祝福することができる」
「――わたしの全部を自分のものにした、ということで?」
「それもあるだろう。けれども、それよりももっと、きみ自身のために。僕としては、水火をくぐったようなもんだから、これからこそほんとの友情でやって行けると思うんだ。それは否定しないでしょう?」
「そうかしら……」

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