宮本百合子 『道標』 「計画生産」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「計画生産」
「蜂谷さん、この前、資本・労働協定の話のとき、資本主義生産には本当の合理性はないんだって教えてくれましたよね」
「その通りだよ」
「その通りだと思うんです。でも、実際には、資本主義の枠の中でも一時的に、部分的に計画性を持つ面もあると思うんです。資本主義だってやっぱり生きてるものだし、生きようとしていろんな方法を探すのは当然ですから、……」
「すると、それは、資本主義の生態の必然ってことなの? それとも生きようとする資本主義の戦いの方法の一つなの?」
「後者だと思います」
「そうしたら、つまり改良主義じゃないの。それは『偽善的な社会民主主義』であるって、あなたが教えてくれた、そのものじゃないの?」
「本質的にはそうかもしれませんが、資本主義も自由主義時代が終わって、計画性を持たないとやっていけなくなってるっていう事実そのものが今日の歴史の一因なんです。社会主義に発展するといっても実際は資本主義の中を抜け出ないといけないんでしょ、その過程で今改良主義と言われてるような方法にもプラスとしての価値転化を認めるべきだと思います。国によって具体的な事情はみんな違う。だから社会主義に向かうのは間違いないとしても、一つ一つの過程が全部同じコースってことにはならないと思うんです」

原文 (会話文抽出)

「計画生産」
「蜂谷さん、この間、資本・労働協定の話のとき、あなたは、資本主義生産に、ほんとの合理性はあり得ないんだって教えて下さったことよ」
「それはそうさ」
「それはそうにちがいないんだ。しかし、実際には、資本主義の枠の内でも過渡的に、部分的に計画性をもち得る面もあるわけなんだ。資本主義だってやっぱり生きているもんだし、生きようとしてあらゆる方法を求めるのは必然なんだから、……」
「すると、それは、資本主義の生態の必然てわけなんだろうか、それとも生きようとする資本主義のたたかいの方法の一つなんだろうか」
「あとの方だね」
「そんなら、つまり改良主義じゃないの。それは『偽瞞的な社会民主主義』であるって、あなたが教えて下さる、そのものじゃないの」
「本質はそういうものであるにしろ、資本主義も自由主義時代がすぎて、計画性をもたなくちゃならなくなって来ているという事実そのものが今日の歴史の因子なんだ。社会主義へ発展すると云っても事実資本主義の中をぬけて行かなけりゃならないんだし、その過程でいま改良主義と云われている方法にもプラスとしての価値転換を与えるべきだと思うんだ。国によってみんな具体的な事情がちがう。したがって社会主義へ向うことは疑いないにしたって、一つ一つの過程はどこも同じコースというわけもあり得ない」

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