宮本百合子 『道標』 「僕のいるところがあんまりあけっぱなしの田…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「「俺がいるところが田舎すぎて、たまに変なところを歩くと気分変わるわ」
「ロンドンはどうだった?」
「300万人もの失業者って、ただごとじゃないよ。鈴なりだったことよ」
「鈴なりって――?」
「イギリス銀行の近くに、セント・ポールっていう大聖堂があってさ。そこの日曜の礼拝の合唱が有名なんだ。それを聴こうと思って行ったらさ、ローマかどっかにあるセント・ポールを真似してそのまんま作ったっていう正面の階段の両側に、失業者か浮浪者か知らないけど、びっしりつまってるんだ。何段あるのかわかんないけど、見上げるような大階段の一段ごとに、すき間なく3人ぐらいずつ並んで、下から上までびっしりなの。朝陽がよく当たっててさ。その真ん中を、白手袋して聖書持って、礼儀正しく、周りも見ずに登ったり降りたりしてるの。ああいう光景ってなんて言えばいいんだろう――ロンドンにしかないわ」

原文 (会話文抽出)

「僕のいるところがあんまりあけっぱなしの田舎だもんだから、たまにこんなところを歩くと、気がかわる」
「ロンドンは、どうでした」
「三百万人もの失業者って、ただごとじゃないのねえ。鈴なりだったことよ」
「鈴なりって――」
「英蘭銀行のちかくに、セント・ポールって大教会があってね。そこの日曜礼拝の合唱が有名なんです。それをきこうと思って出かけたらね、ローマかどこかにあるセント・ポールをまねしてその通りにこしらえてあるっていう正面の大階段の左右に、びっしり失業者だか浮浪者だかがつまっているんです。幾十段あるのか、堂々と見上げるような大階段の一段ごとに、すき間なく三人ぐらいずつ並んで、下から頂上まで、びっしりなの。朝日がよくさしていてね。そのまんなかのところを、白手袋はめてバイブルをもった人たちが、行儀よく、わきめもふらないで登ったり下りたりしているの。ああいう光景って何て云ったらいいんだろう――ロンドンにしきゃないわ」

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