宮本百合子 『道標』 「お母様、せん、和一郎さんが茶碗をぶつけた…

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「お母さん、あの、和一郎さんが茶碗をぶつけたって時ね、あの人は、お母さんめがけて投げたの?それとも、ただ畳とかどこかへ投げつけたの?」
「そりゃあ、お前……」
「いくらあいつだって、私に当たるように投げつけたりなんかしなかったよ」
「今日はどうだったの?」
「…………」
「お母さんは、お金のために和一郎さんが椅子でお母さんを殴り殺すことがあるなんて、本当に思ったの?」
「――伸ちゃんは、あの時の和一郎の顔見てないからわかんないんだ――ほんとに、あの一生懸命さったら」
「もちろん和一郎さんは、悪いわよ。人を脅かすようなことするなんて、男らしくない卑怯なことだわ。――でも、お母さん」
「お母さんには、その瞬間だってわかってたはずよ。和一郎があれ以上のことしようとしてないっていうのは――」
「…………」
「それなのに、なぜ、急に、殺されそうだったなんておっしゃるの?」
「…………」
「ねぇ、なぜそんな風に言うの?」
「つや子が可哀想すぎるのよ」
「和一郎さんには、今後絶対そういう乱暴をさせちゃいけない」
「伸ちゃんからも、よくよく言って聞かせてあげてね」

原文 (会話文抽出)

「お母様、せん、和一郎さんが茶碗をぶつけたというときね、あの人は、お母様をめがけて茶碗を投ったの? それとも、ただ畳かどっかへなげつけたの」
「そりゃあ、お前……」
「いかにあのひとだって、わたしにぶつかるように投げつけやしなかったさ」
「きょうはどうだったの?」
「…………」
「お母様は、お金のために和一郎さんが椅子でお母さまをうち殺すことがあるなんて、ほんとにお思いになったの?」
「――伸ちゃんは、あのときの和一郎の相好を見ていないからわからないんだ――ほんとに、あの勢ったら」
「もちろん和一郎さんは、悪いわよ。ひとをおどすようなことをするなんて、男らしくない卑劣なことだわ。――でも、お母様」
「お母様には、その途端にだってわかっていたはずよ。和一郎がそれ以上のことをしようとしていないっていうことは――」
「…………」
「それなのに、なぜ、いきなり、殺されるところだったなんておっしゃるの?」
「…………」
「ね、なぜそんな風におっしゃるの」
「つや子があんまりかあいそうだわ」
「和一郎さんには、今後絶対そういう乱暴をさせちゃいけない」
「伸ちゃんからも、よくよく云ってきかせてやっておくれよ」

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