宮本百合子 『道標』 「そりゃ、もうそこでおちついているんでしょ…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「もうあそこで落ち着いてるんでしょ」
「これ以上いい治療法はないんだって。日本に帰って1か月も温泉に行けば、元気になるって話だよ」
「日本に帰って温泉に行くって？……」
「逆に行こうとしてるんじゃないの？」
「日本に帰ったらってことだよ。お母さん、吉沢さんに電報打つみたいだよ。君の調子で、あっちが来るかどうか決めるんだって」

原文 (会話文抽出)

「そりゃ、もうそこでおちついているんでしょうな」
「手あても、これ以上の方法はどこにいたってないんだとさ。日本へかえって一ヵ月も温泉へ行けば、ケロッとしてしまうだろうって話しだったよ」
「日本へかえって温泉へ行くって？……」
「わたしたち、逆へ行こうとしているんじゃないの」
「日本へ帰ったらば、ということさね。おっかさんは、吉沢さんに電報をうつようにたのんでるんだそうだ。君の様子しだいで、あっちがたつかどうかをきめるわけになってるらしいよ」

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