宮本百合子 『道標』 「あなたの旦那さん、あなたの見舞に来ますか…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「あなたの旦那さん、見舞いに来ますか?」
「あの人にそんな時間があるわけないでしょ、会議!会議!ばっかりで。いつも、夜中にならないと帰ってこないよ」
「党員?」
「そう」
「あなたも?」
「私は党員じゃないよ。組合の代議員だよ」
「立派じゃない。デレガートカ(代議員)ならあなたも自分の病気について、真っ当な考え方をしなきゃいけないと思うわ」
「そりゃそうさ。――だけどね、まあ見てよ」
「私の体、どこが腫れてるかっていうの?むしろ痩せちゃったわ、ろくなもの食べてないから」
「塩気なしの食事でしょう?」
「――あなたは、医者も勉強してるの?」
「世界中、どこでも腎臓の病人には塩気を食べさせないんです」
「それにしたって、あなたに何がわかるのよ。毎日医者の顔さえ見りゃもう治ったって言うてる人を、何でまた意地になって退院させないのかしら」

原文 (会話文抽出)

「あなたの旦那さん、あなたの見舞に来ますか?」
「あのひとにどうしてそんな時間があるものかね、会議! 会議! で。いつだって、夜なかにならなけりゃ帰ってきないよ」
「党員?」
「ああ」
「あなたは?」
「わたしは党員じゃないよ、組合の代議員さ」
「結構じゃないの。デレガートカ(代議員)ならあなたも自分の病気について、道理にかなった考えかたをもたなくちゃならないと思うわ」
「そりゃそうさ。――だけれどね、まあ見ておくれ」
「このわたしの体のどこがむくんでるんかね、それどころか、やせちまったわ、ろくなもの食わないでいるから」
「塩気なしの食事でしょう?」
「――お前さん、医者の勉強もしているのかね」
「世界中、どこでも腎臓の病人には塩気をたべさせないんです」
「それにしたって、お前さんにゃわけがわかるかね。これほど毎日医者の顔さえ見りゃもうなおったって云ってる者を、何だってまた意地にかかって出さないんだか」

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