宮本百合子 『道標』 「あなたにもおわかりでしょう」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「あんたもわかってるでしょ」
「あんたの説明じゃ、客観的に弱い根拠しかねーと思う。ある部屋をAって人がちゃんと契約して借りたわけじゃん。そっから二日後、いきなりその部屋がいるから明けてくれって。普通『やむを得ない事情』じゃ通用しねーよ」
「――なるほど」
「あんたが言う通り、俺の説明は客観性に欠けるとして――それをもっと具体的に説明しちゃいけないってんなら、あんたならどうすんの?」
「それはまあ、あんたの不運としか言いようがねー」
「不運は、同情される性質のものだ」
「そうかね」
「残念なことに、あんたは権威ヅラしすぎ」
「それで、部屋はどれくらいいるんですか」
「それは今んとこわかんねー」
「その間、俺たちは子供部屋で待ってるわけ?」
「むしろ、あんたたちがこの際別の部屋見つけて移った方が楽だと思うんだけど」
「エート、ニェワズモージュノ(それは無理だ)」

原文 (会話文抽出)

「あなたにもおわかりでしょう」
「あなたの説明は、客観的にはよわい根拠しかもっていないと考えるんです。或る一つの室を、ちゃんとした契約でAという人が借りた。そして二日たったら、その部屋が急にいるからあけてくれ、というような場合、一般に、『やむを得ない事情』というのは、説明にならないと考えます」
「――なるほど」
「あなたの云われるとおり、わたしの説明は客観性をかいているとしてですね――、それをより具体的にする自由がわたしに許されていない場合、あなたならどうしますか」
「それは、ほんとにあなたの不幸だ、というしかありません」
「不幸は、そのことにおいて同情される性質のものです」
「そうかしら」
「残念なことに、あなたはあんまり権威にみちて見えます」
「それで、部屋は何日間必要なんですか」
「それは今のところわかりません」
「その間、わたしたちは子供部屋に暮して待っているわけですか」
「わたしは、むしろ、あなたがたが、この際別の部屋を見つけて移られる方が便利だろうと思うんです」
「エート、ニェワズモージュノ(それは不可能です)」

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