宮本百合子 『道標』 「それもそうだけれど、吉之助さん、どう思う…

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「それもあるけど、吉之助さん、どう思う?私、さっきガーリンと話しててふと思ったんだけど。今回歌舞伎が来て、一番熱心に見てたり、特別講習受けたりしたのはメイエルホリドだったよね。次は『トゥーランドット』やってるワフタンゴフ。ム・ハ・ト(芸術座)はその割じゃなかったよね?あれって何でだと思う?」
「ム・ハ・トには演技の伝統があるからじゃないの?」
「それもあるよ、ぶっこちゃん」
「私はそれだけとは思えないなぁ」
「ム・ハ・トは、リアリズムでやってるのよ。リアリズムそのものを進歩させて発展させてきたんです。メイエルホリドはあれみたいに様式化して、動的にやってるけど、そういう路線ってどこまで本質的に発展できるのかしら…。私はム・ハ・トが、歌舞伎の隈にあまり関心示さなかったのに、メイエルホリドが熱心だったっていうのが、吉之助さんとしては考えていい問題だと思うんだけど」
「歌舞伎だって世話物には菊五郎のリアリズムがあるよ」
「こっちじゃ、時代物しかやらなかったからね。その影響もあるかもしれないね」

原文 (会話文抽出)

「それもそうだけれど、吉之助さん、どう思う? わたし、さっきガーリンと話していてふっと思ったのよ。こんど歌舞伎が来て、一番熱心に見学したり、特別講習をうけたりしたのはメイエルホリドだったでしょう。次は『トゥランドット』をやっているワフタンゴフ。ム・ハ・ト(芸術座)はその割でなかったでしょう? あれは、どういうことなんだろうと思ったの」
「ム・ハ・トには演技の伝統が確立しているからなんじゃないですか」
「そりゃそうだよ、ぶこちゃん」
「わたし、それだけだとは思わないなあ」
「ム・ハ・トは、リアリズムで押しているのよ、そうでしょう?『桜の園』から『装甲列車』へと移って来ているけれども、それはリアリズムそのものを押して発展させて動いて来ているんです。メイエルホリドはあんな風に様式化して、動的にやろうとしているけれど、ああいう線が本質的にどこまでも発展できるのかしら……。わたし、ム・ハ・トが、歌舞伎の隈に大して関心を示さなかったのに、メイエルホリドが熱心だったっていうの、少くとも吉之助さんとしては考えていい問題だと思うんだけれど」
「――歌舞伎だって世話ものには菊五郎のリアリズムだってあるよ」
「こっちじゃ、時代ものしかやりませんでしたからね。そのせいもあるかもしれませんね」

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