宮本百合子 『道標』 「あの棒はいい思いつきだったじゃありません…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「あの棒のシーンはいいアイデアだったよなぁ」
「棒を使うってのは誰でも考えるでしょ」
「でも、使い方だよ…そこなんだよ」
「ユダヤ人の学者が迫害されて海外に逃げる話なんだけど、ダメだった。その学者が深刻な顔でピアノ弾くと、グランドピアノの上にロマンチックな海が現れるんだぜ」
「ヤニングスみたいな俳優って、演技がドイツ的だよね」
「でもヤニングスはすごいけどね」
「リア・ド・プチとヤニングスの組み合わせって、認めてもいいんじゃない?」
「中舘さんって、ベルリンって結構役に立ってるの?」
「そりゃ…日本から行って役に立たない場所の方が少ないんじゃないかな」
「ドイツ映画って、なんかよくわかんないんだよね。ツァイスレンズって世界一でしょ?科学的だよね?なのに『サラマンドル』で平気でセンチメンタルな波出すし…ドイツ文化って、科学的で論理的なくせに、官能的で暗くて…意味わかんない」
「ツァイスレンズだけあってもいい映画にならないからこそ、俺たちの仕事があるってことだよ」

原文 (会話文抽出)

「あの棒はいい思いつきだったじゃありませんか」
「棒をつかってみようとするところまでは、大体誰しも考えることなんじゃないのかな」
「ただ棒のつかいかたね……そこのところですよ」
「ユダヤ人の学者が迫害されて、外国へ逃げる話なんですけれどね、へこたれちゃった。その学者が深刻な表情をしてピアノをひくと、グランド・ピアノの上におそろしくロマンティックな荒磯の怒濤が現れるんですもの」
「ヤニングスみたいな俳優にしろ、もち味がいかにもドイツ的でしょう」
「でも、ヤニングスぐらいになれば相当なものさ」
「リア・ド・プチとヤニングスのあの組み合わせなんか、認めていいものさ」
「中館さん、あなたにベルリンてところ、随分やくにたつの?」
「そりゃあ……日本から行って役にたたないってところの方が少ないんじゃないかな」
「わたしには、ドイツの映画、なんだか分らないところがあるんです。だって、ツァイスのレンズって云えば、世界一でしょう? それは科学性でしょう? それなのに、『サラマンドル』であんなセンチメンタルな波なんかおくめんなく出してさ。――ドイツの文化って、一方でひどく科学的で理づめみたいなのに、ひどく官能的だし、暗いし――わからないわ」
「――ツァイスのレンズだけあってもいい映画にならないところに、われわれの生き甲斐があるわけでしょう」

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