宮本百合子 『道標』 「どうしたのさ、ニューラ」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「どしたの、ニューラ」
「盗まれたのよ! オイ!」
「何盗まれたの」
「洗濯物。――昨日干した洗濯物が全部ないのよ。盗まれたのよ」
「昨日干したって……」
「「ぶこ」ちゃんが行った分のこと?」
「ニューラ、落ち着いて。アタシと昨日干したやつが、ないの?」
「その洗濯物が、今朝までには、一枚もなくなったのよ――アタシに何の罪があるの。こんなことがなくても、アタシはちっとも幸せじゃないのに……何て呪われてるの。何で、アタシに大きなシーツなんかいるのよ」
「奥さんは、アタシが盗んだと思ってるのよ。もう電話かけた。警察犬呼んで、アタシの全身を嗅がせるのよ。オイ!」
「ニューラ、物干し場出るときカギ閉めたの確かでしょ!」
「アタシがカギ閉めたって意味あんの? あそこに入るカギはこの建物じゅうの住居にあるんだもん……警察犬が来たら、アタシ、この建物じゅうの人間を嗅がせるんだから――オイ!」
「どーしたってんだろ」

原文 (会話文抽出)

「どうしたのさ、ニューラ」
「盗まれちまったんです! オイ!」
「なにを盗まれたのさ」
「洗濯ものを。――ゆうべ乾した洗濯ものがみんな無いんです。盗まれたんです」
「ゆうべ乾したって……」
「ぶこちゃんが一緒に行ってやった分のことかい?」
「ニューラ、落付きなさい。わたしと一緒にゆうべ乾したものが、無いの?」
「その洗濯ものが、けさまでに、一枚もなくなったんです――わたしに何の罪があるでしょう。こんなことがなくたって、わたしはちっとも仕合わせじゃあないのに……何て呪われているんだろう。何のために、わたしに大きな敷布がいるでしょう」
「奥さんは、わたしが盗んだにちがいないと思っているんです。もう電話かけました。警察犬をよんで、わたしの体じゅうを嗅がせるんです。オイ!」
「ニューラ、あなた、物干場を出るとき鍵をかけたことはたしかに思い出せるでしょう!」
「わたしが鍵をかけたって何になるでしょう。あすこに入る鍵はこの建物じゅうの住居にあるんです……警察犬が来たら、わたし、この建物じゅうの人たちを嗅がせてやるんだから――オイ!」
「どうしたっていうんだろう」

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